花の命はノー・フューチャー

後編 未来をふみたおせ!

『花の命はNO FUTURE――DELUXE EDITION』刊行記念対談

後編です。今回は、アナーキーな愛で、あなたの心に火を付けます。 『花の命はノー・フューチャーーーDELUXE EDITION』(ブレイディみかこ著、ちくま文庫、2017年6月)の刊行を記念し、ブレイディさんに政治学者の栗原康さんと対談していただきました。8月24日下北沢のB&Bにて。

 

■長渕剛とモリッシー

ブレイディ ところでモリッシーも万引きについての歌詞を書いているんですよ。「世界の万引き野郎ども、団結せよ」というね。

栗原 カッコよすぎですね~。

ブレイディ 私もモリッシーの本を書いたときに、「モリッシーはアナキストだ」と書いたら一部で怒っている人もいるんですね。モリッシーも結構そんな気があるんじゃないかなと思っているんですけどね。

栗原 万引き野郎どもが、団結したら一網打尽にされそうですけどね(笑)。

ブレイディ きょう、ある方と話していたら、私の書いた『いまモリッシーを聴くということ』の中で私が核心だなと思っているところを突いてきたので「おお」と思ったんです。「マニキュアをつけたスキンヘッド」という言葉が、「ここが肝ですね」とその方に指摘されて、これはモリッシー自身もすごく好きな言葉で、それが一番自分のアーティストとしての特徴を言い当てていると思っているみたいなんですね。それで私も、そうなんです、それを副題にしようと思ってたぐらいです、と言ったら、その方が、長渕剛がマニキュアをつけたらモリッシーになるんじゃないかと。

栗原 うわ~……。

ブレイディ でも、私はそれには反対というか、頑なに認めたくなかったから、「そうですか~?」と言ってたんですけど(笑)。長渕剛って、今すごく人気があるじゃないですか。

栗原 いや、たぶん、ほんの一部だと思います。最近、友人のアナキストたちと一緒に「長渕、すごいぞ」と言いはじめているだけで……。

ブレイディ アナキストと長渕の繋がりって何なんですか? 森さんも、このあいだバーベキューのあとに、しこたま酔って歌っていたらしいんですよ。

栗原 実は、ちょうどその酔っぱらっているときに電話がかかってきたんですよ。そうしたら、森君がしょっぱなから、「アオ、アオ、アオ……」……。長渕の新曲です(笑)。長渕は、「日の丸」とかでマッチョでナショナルなイメージが強いんですけど、政治的には反原発や反安保法制、反戦だったりして。あるいは、そういう真面目なことを言わなくても、もともと反社会なんですよね。カネとか地位とか、ひとを物差しではかって、「こうやって生きろ」っていってくるものに対して、唾を吐きかけてやれみたいな。ひたすらそういう歌をうたいまくっています。じゃあ、社会にしたがわないなら、どうすりゃいいのかというと、「おまえがやれー、おまえが舵を取れー!」と。

ブレイディ 栗原さんも、カラオケ行ったらものすごい熱唱するんですよね。周りの人が見えてないぐらいの熱唱。それで私が何を歌っているかというと、シーナ&ロケッツとか、80年代の……。

栗原 これがまた、上手いんですよね~。

ブレイディ 私は博多のめんたいロックとか、やっぱ歌っちゃうんですけど、世代的に。

2017年10月6日更新

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ブレイディ みかこ(ぶれいでぃ みかこ)

ブレイディ みかこ

ライター、コラムニスト。2007年から保育士。1965年福岡市生まれ。96年から英国ブライトン在住。著書に『アナキズム・イン・ザ・UK』『ザ・レフト──UK左翼セレブ列伝』(以上、Pヴァイン)、『ヨーロッパ・コーリング──地べたからのポリティカル・レポート』(岩波書店)、『THIS IS JAPAN――英国保育士が見た日本』(太田出版)、『子供たちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)、『いまモリッシーを聴くということ』(Pヴァイン)がある。

栗原 康(くりはら やすし)

栗原 康

1979年、埼玉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科・博士後期課程満期退学。東北芸術工科大学非常勤講師。専門はアナキズム研究。著書に、大杉栄伝―永遠のアナキズム』(夜光社)(第5回「いける本大賞」受賞、紀伊國屋じんぶん大賞2015第6位)、『はたらかないで、たらふく食べたい―「生の負債」からの解放宣言』(タバブックス)(紀伊國屋じんぶん大賞2016第6位)、『現代暴力論 「あばれる力」を取り戻す』 (角川新書)、『村に火をつけ,白痴になれ―伊藤野枝伝』(岩波書店)などがある。