ちくま新書

洞窟探検への招待

狭い、暗い、死ぬほど危ない! なぜ、そんなに苦しい思いをしてまで、洞窟に潜るのか? 「クレイジージャーニー」「情熱大陸」などテレビでおなじみの洞窟探検家・吉田勝次氏による『素晴らしき洞窟探検の世界』(ちくま新書、10月刊)プロローグの一部を公開いたします。 「洞窟王」吉田勝次氏の熱い思いと、冷や汗をかく危機一髪エピソードをどうぞ!

†探究心と恐怖心
 これからお話ししていくように、洞窟探検はとても大変なものである。それでも奥へと進もうという原動力は、自分の、苦手なことに対して「なにくそ!」と思う負けず嫌いな性格と我慢強さかもしれない。それからもちろん、知らないところを見てみたいという探究心だろう。
 でも、前に進むことだけを考えていると、戻れなくなってしまうことがある。
 探究心は、前に進むための原動力にはなるが、それだけでは危険を察知して回避したり、戻る適切なタイミングを見誤ってしまう。先ほど僕が相当な怖がりだという話をしたが、それが大切なのだ。もし僕がまったく洞窟を怖いと思わない人間だったとしたら、すでに生きていないかもしれない。前に進むのは、探究心が恐怖心に勝っているときであり、逆に恐怖心が探究心を超えたときは、潔く戻る。探検家は冒険家ではない。探検家は臆病なところがあっていい。そのほうが沈着冷静、用意周到になれるからだ。
 僕も、20~30歳代の頃はいつも前進あるのみだった。そのためアクシデントやハプニングに遭遇するのだが、それによって洞窟への恐怖心は増幅されていった。これまで3回ほど洞窟が怖くなり、一歩も前に進めなくなり、洞窟から足が遠のいた時期がある(でもまた時間をおくと行けるようになるから不思議だ)。
 山を登り、川を渡り、崖を登ってやっと洞口にたどりつき、狭い通路を何日も這いずりまわって劣悪な空間を進むには、強い肉体が必要だ。しかし、年齢を重ね、たくさんの洞窟に入るうちに実感してきたのは、肉体よりもハート(精神力)のほうが大切だということだ。40代になって、ようやく腹を据えて行動できるようになってきた。それでもやはり、洞窟の中で泣きたくなるのはしょっちゅうである。

2 すごい洞窟の見つけ方

(略→本でご覧ください)

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