確認ライダーが行く

第9回 送信メールの確認

今日は、どんな確認をしましょうか? ミリさんが日々疑問に思っていること、わかっているけど毎回、確認せずにはいられない ものごとをつづったミリさん節全開の微笑エッセイ。「あるある」と思って、楽しんでください。

 送信メールの確認

 送信ボタンを押す前にしっかり確認すればいいのに、さっさと送ってしまう。
 言うまでもなく、メールの話、しかも仕事のメールである。
 ついさっき送信したのは、いつもお世話になります、が、〈いもつお世話になります〉になっていた。「い」のあとに「ち」が入っていなくて本当によかった。
 その一本前では、〈NOBONAGAが気になります!〉と打って送信している。ノボナガ。東京土産のお菓子みたいだが、正解は、NOBUNAGA。宝塚歌劇で織田信長の舞台があり、その件だった。
 送信履歴をスクロールすれば、〈シッョピングセンター〉〈なにんもしない旅〉〈ずこーい!〉など、探そうとしなくとも、次から次に失点を見つけられる。
 編集部の名前を誤って送ったこともあった。ダ・ヴィンチ編集部○○様が、〈ダメヴィンチ編集部◯◯様〉。ダメは、絶対ダメだろう! これは、後で平謝りした。わたしはローマ字入力ではなく、いつも、かな入力。「・」と「メ」が同じキーなので打ち間違えたのだ。
 すぐに送らずに、一旦、読み返せばよい。  わかっているのだが、勢いにまかせ、カタカタカタカタ、タンッとやってしまう。そのくせ、送った文章は、何度も何度も読み返すのだった。
 送信後、すぐに文面を確認する。これは単なる確認。
 つづいて、他者の視点での確認。少し時間を置いてから、送った相手になったつもりで再読するのだ。
 〈ずこーい!〉ってなんだよ、まったくこの人は。
 みたいに。

 学生時代、旅先から好きな男の子に絵はがきを送ったことがあった。
 〈元気ですか、今、どこそこに来ています、今日はこんなところを見て、こんなものを食べました、帰ったらまたね!〉
 どうということのない文面だったが、わたしは、自分の手帳に一字一句書き写してからポストに投函した。あの人は、どう感じるんだろう。後から「彼」の視点になって読み直したかった。ハガキに添えた、手描きのイラストまで正確に写したものだった。
 そういえば、以前、若い女性たちが集まる座談会を取材したとき、メールの話題になった。ひとりの女性が言った。
 「暇なときって、自分が送ったメール見てる」
 すると、「わかる。届いたメールより見てる」と、同意した人が少なからずいた。その後、一瞬、場の空気がしんみりした。
 小学校の国語の授業で、「◯◯的」という表現を習った。他に、どんな「◯◯的」があるか探してきなさい。そんな宿題が出され、「客観的」と書いてきた子が何人かいた。客観的は大事なことだと教わった。
 自分の中は、自分ひとりだけの場所じゃない。
 あのときの教室も、もしかすると、ちょっとしんみりしたのかもしれない。
 ちなみにわたしは、「楽天的」と書いて行った。心配性で、ちっとも楽天的ではなかったくせに。