『うつくしい自分になる本 SELF CLEANING BOOK 3』刊行記念対談

うつくしい自分になるには?【前篇】

『うつくしい自分になる本 SELF CLEANING BOOK 3』刊行記念対談

服部みれいさんに『うつくしい自分になる本 SELF CLEANING BOOK 3』の刊行記念対談が、2018年4月10日、青山ブックセンター本店で行われました。女優の太田莉菜さんが対談のお相手です。前編は、みれいさんから莉菜さんへの公開プレゼント、そして自然療法の話へとたのしく展開していきます。そして後編は、心のうちの深いお話へ。

●ロシアや日本の自然療法

みれい それで、さっき(楽屋で)自然療法の話をしていたんですけど、おうちでも何かそういうセルフケアはしますか?

莉菜 わたしはすごいズボラというか、あまりこだわり細かいケアというのはそんなにしてないんですけど、自然療法というのは小さいときから馴染みがあって、幼少期はロシアに住んでいたんですけど、ロシアというのは結構、自然療法で風邪を治したり……。

みれい 何歳のときにいたの?

莉菜 生まれてから9歳まで、行ったり来たりをずっと繰り返して、まとめて住んだのは3年ぐらいですけど、いまは全然行っていなくて、全然わからないんですけど。

みれい 風邪を引くと、どうやって治すんですか?

莉菜 ハーブとかお花をお湯に浸して、その湯気を、タオルをかぶって、ずっとその湯気を浴びて。もうビッシャビシャになるんですよ(笑)。ただそれだけです。カモミールとか。

みれい じゃあ、子どもの頃はそれで……。

莉菜 そう、循環器系をケアしたり、風邪を引いたかなと思ったら、それをやってもらったり。

みれい お母さんが、そういうのにすごく特化したのか、それとも、ロシアではそういう方法がわりとメジャーなのか……。

莉菜 メジャーじゃないかなと思いますけどね。あとは、住んでいた時期もちょうどソ連崩壊とかで、すごい混沌とした時期で。

みれい ああ、そうか。1990年代?

莉菜 90年代前半で、たぶん、まだまだそういった生活に根づいたものというのは……。

みれい 必要だったんですね。

莉菜 そうですね。あと、ロシアの小学校の保健室に行くと、壺を火で温めてポンと背中に置く器具があった。

みれい 吸い玉みたいなものかな? 中国でもありますよね。

莉菜 そうそう、すごい痣みたいになる。マッチで火をつけて温めて、そうすると、背中に置くと、ボコボコボコッと皮膚が引っ張り上げられる。

みれい 小学校でも自然療法、最高ですね。

莉菜 そういうのが結構あって。わたしの母が薬好きで、何かあると薬を飲ませようとするんですよ。わたしは、絶対薬を飲みたくないって。なんか、子ども心に、保健室に行ってそういう治療をしてもらったのは、思い出に残っています。

みれい すてきですね。『アナスタシア』という本があるのですが、ロシアの森に住むハイパーな女性の話で、本当にすばらしい話なんですね。ロシアといえば、ダーチャという、何と言ったらいいんだろう、庭つきの小屋?……が有名ですよね。

莉菜 ダーチャって、わかりやすく言うと、田舎に木でできた一軒家があって、そこに庭があって、自分たちが食べる野菜を育てたり、家畜を飼ったり。

みれい 都会の人が持っているんですか? それとも、住んでいる人もいるの?

莉菜 そこに住んでいる人もいるし、都会の人も持っているけれど、だいたい田舎のおじいちゃん、おばあちゃんが住んでいて……。

みれい そのダーチャというシステムが日本でもいま注目されていて、すごくいいアイデアだと思うんですね。都会の人も田舎に小屋と畑を持っていて、毎週行くとかね。野菜って、商売として売るものを作ろうと思うとすごく手間がかかって大変だけど、自分たちが食べるものを自分たちの手でつくるならば、そんなにむずかしくなくつくることができるのかな、と。

 さっきのコリアンダーとかも自生しているのですもの。知らないうちに「あれっ? できてる!」みたいな感じ。自生しているものなのに、買おうと思うとすごく高いですよね。コリアンダーもシソもサンチュも自生していて……。うちの畑は本当にイチゴも自生しています。毎年生える場所があって。ほんとに、うちの畑はグチャグチャなんですけど、ハーブとか、混然一体となって勝手にいろいろな作物が生えているから、1~2週間に1回収穫する程度でもやっていけるんですよね。

 だから、みんながそういうダーチャ……土地と寝るところを与えられて、自分の食べるものの一部をつくったら、おもしろそうだなと思う。

莉菜 そうですよね。話していたら子どもの頃の記憶が蘇ってきました。わたしは、モスクワに住んでいる時期と、田舎に住んでいる時期があって、田舎に住んでいる時期は、だいたいアパートの集落の中庭に、豚、ニワトリ、馬、牛がいたんです。

みれい え~っ、最高!

莉菜 それで、あるとき、外から「バーン!」とすごい音がして、行って見たら、牛が逃げ出した音で、騒然としちゃって(笑)。

みれい 普段は囲われているんですか?

莉菜 なんかね、逃げ出したんですよ。全然ちゃんとした柵なんてないんだけど。そういう、みんなで飼っている感じで、卵を産んで、牛乳を採って。そういうことを自然としていて。あと、モスクワは広大な所なので、森がたくさんそこらじゅうにあって、公園にみんなでバケツを持って行って、ブルーベリーとかラズベリーとかキイチゴを摘んでジャムにして……。

みれい 最高です。

莉菜 日本に帰ってきてからは、なかなかそういう生活をできていないけど。

みれい そうですね~、それは最高ですよね。ダーチャですばらしいと思ったのが、人間の精神や体に良いのはもちろん、結果、地球環境にもいいという点です。さっきの種の話と関係あるんだけど、大量生産・大量消費というのはどうしても地球へのダメージが大きいと思うんですね。たとえば形のよい作物をある時期に集中して収穫しようとすると、農薬や肥料を使わなければいけなかったり。でも、自分で自分のものをつくるには、農薬や肥料がなくても全然できる。もちろん、土に触るからからだにもよいし。あと、『アナスタシア』には、種を自分の口に入れて蒔く方法が書いてあるんです。そうすると、自分のからだに、そのときの自分によいものが育つと。私も、安全な種はやっていますけど、なんか、畑をやるというのは、畑をやること以上のすごい価値があるような気がしています。それプラス、ロシアのダーチャがすばらしかったのは、ソ連崩壊のときかな、経済が大変でしたよね。

莉菜 そうですね。

みれい ロシア全土で食糧が不足したそうなんです。しかし、ロシアにはダーチャがあったお陰で、ほとんどの国民がジャガイモを育てていた。

莉菜 そうそう、ジャガイモ(笑)。

みれい ウケてる。ここ、ウケるところなんだ(笑)。ジャガイモ食べたでしょう?

莉菜 大好きですね。みんなジャガイモばかり食べているから、あんなに太るんですよ。

みれい ロシアの人は、どうやって食べるの?

莉菜 マッシュポテトとか……。そんな大した食べ方じゃないですよ、茹でて、あと、ケッパーとか。あと、ウォッカと一緒にニシンの酢漬けみたいな、すごいキツいものを食べるから、そのアテでジャガイモを食べる。あと、ピクルス。

みれい そういうわけで、食糧危機になった時にも、みんながダーチャでじゃがいもを育てていたお陰で、食糧危機を免れたと聞いたことがあります。日本だと、例えば、お米だけはみんな自分で自分のものを育てるようにすれば、輸入が大変なときとか、災害や経済状況が悪くてもすごく安心だと思っていて。ロシアという国がある部分ですごく安定的なのは、ダーチャによる気がします。それと、経済的にうまくいかないとか、貧しいとかいうのは、わたしは実はチャンスじゃないかと思っていて、豊かだと消費にたくさんのエネルギーが回ってしまいますね。お金で解決しますけど、貧しいと自分でつくることになる。

莉菜 そうですね。発想が豊かになりますね。

みれい そうそう、ラズベリーを摘むとか、牛が脱走したとか聞いただけで、そういうクリエイティブな暮らしをしてみたいなと思います。それと、都会的な楽しさをマッチングして、次の段階に行けないかなと、岐阜で模索しているんですね。私は都会もとても好きなんです。

莉菜 わたしも大好きです。

みれい 都会のおもしろさってもちろんある。人もおもしろいし、すごく目覚めているところもおもしろい。でも、わたしたちがこの暮らしをずっと続ければ続けるほど、環境は本当に疲弊していくんですよね。

莉菜 ちょうど本に「自然欠乏症」と書いてあって、なるほどと思いました。日々、人がオーガニックを求めたり、体に良いものをと言っているのは、都会にいて不足していればしているほど、そこにすごいこだわりを持ってしまう。確かにそうだなと。

みれい わたしは最後東京にいたとき、この(表参道)近くに住んでいて、編集部も近かったんですよ。当時はハーブティーをガブ飲みしてた(笑)。でも、岐阜に行ったら、ハーブティーをガブ飲みしなくなったの。結構悪いものでもガブ飲みしてる(笑)。よく考えたら田舎の人は、そんなに「オーガニック、オーガニック」言わないんですよ。だって、ベースがオーガニックだから。空気もよい、水もよい。山も川もいつでも近くにある。ほんとに、田舎に行ってすごくわかったんです。でも、都会にいると、自然食品店に直行!! って感じ。 

莉菜 アハハハ。

みれい バランスだと思うんですけど、突き詰めていくと、みんながダーチャを持ったらおもしろいというのが、わたしのいまの中間地点で。東京でマンションを売り出すときも、必ず畑とセットだったらいいのにと思う。全員、強制的に、土地と、家の中に必ずベランダと土があるみたいな。これがあたらしい世界のひとつの形なんじゃないかなって思っているんです。

2018年6月13日更新

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服部 みれい(はっとり みれい)

服部 みれい

文筆家、詩人、『murmur magazine(マーマーマガジン)』、詩とインタビューの本『まぁまぁマガジン』『murmur magazine for men(マーマーマガジンフォーメン)』編集長。冷えとりグッズを扱う「マーマーなブックス アンド ソックス」(mmbs)(murmur-books-socks.com/)主宰。著書に、『あたらしい自分になる本 増補版 SELF CLEANING BOOK』『自由な自分になる本 増補版 SELF CLEANING BOOK2』(ちくま文庫)、『わたしの中の自然に目覚めて生きるのです』(筑摩書房=刊)、『わたしが輝くオージャスの秘密』(蓮村誠=監修、ちくま文庫)などがある。

服部みれいHP☞ hattorimirei.com/

太田 莉菜(おおた りな)

太田 莉菜

1988年生まれ千葉県出身。2001年にモデルデビューし、その後数々のファッション誌などで活躍。 04年には映画『69sixty-nine』(李相日監督)のヒロインでスクリーンデビュー。以降は女優としても、映画、テレビドラマ、舞台などで活躍。 主な出演作に、映画では『ユモレス 逆さまの蝶』(06/猪俣ユキ監督)、『脳男』(13/瀧本智行監督)、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』(全7章&長編劇場版・14/押井守監督)、『ホットロード』(14/三木孝浩監督)、『海月姫』(15/川村泰祐監督)、『テラフォーマーズ』(16/三池崇史監督)、『君と100回目の恋』(17/月川翔監督)、テレビドラマでは『私という運命について』(14/WOWOW)、『ロング・グッドバイ』(14/NHK)、『ラブラブエイリアン』(16/CX)、舞台では『怪獣の教え』(16)など。

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