加納 Aマッソ

第4回「埼玉西武ライオンズ(複数形)vsオリックス・バファローズ(複数形)」

 ひょんなことから西武戦のチケットをもらった。そのとき検索するまで西武が首位である事も知らず、西武といえばパ・リーグよね、と頭の中で確認し、ようやく、あぁそういえばプロ野球はこんな暑い中も毎日試合してたんだっけな、と思い至ったレベルである。それでも、私の足は軽快に球場へと向かった。国民は高校野球に夢中で、甲子園に比べると埼玉は少し東だが、まあ構わない。出かける口実さえあればいい、というのが、まともにお勤めしていない人間の夏なのである。

8月16日(木)
埼玉西武ライオンズ(複数形)vsオリックス・バファローズ(複数形)

先発投手
今井(回文)vsディクソン(しりとりの果て)
今井は背番号11(素数)、二年目の若手である。
一方のディクソンも11(素数)月生まれ。
運命的な巡り合わせとしか言いようがない。
一回表 オリックスの攻撃(大義名分:仕事なので)
中島のタイムリーツーベース(スリーハイフン)
オリックスが一点先制(ホームベースちょっと汚れる)
一回裏 西武の攻撃(大義名分:まわりに急き立てられて)
源田のスリーベースヒットが出るも生かせず(徹マン明け)
四番の山川もセンターフライに終わる。(全国の山川、遺書を書く)

 西武ドームと認識していたその場所は、山川のセンターフライにつられて頭上を見ると、でかでかと《メットライフドーム》と書いてあった。ホームベンチもいつの間にか3塁側になっている。それでも、なくなったものに感傷にひたるタイプではない。最後にここへ来てからもう10年は経っただろうか。変わらないものもある。内野席の上にずらりと並んだ売店、帰りたいとぐずる子供、歩合制度がつくりだす売り子のはじける笑顔。西武ドームはスタンドと屋根の間が空いていて、そこから入る夜風が気持ち良い。強い風が吹くと、さっきまで野次を飛ばしていた威勢の良いオヤジが慌てて帽子をおさえる姿がおかしかった。球場のすぐ裏にある木に止まっている蝉が、応援団の声に負けじと鳴いている。頑張れよ。ここからだ。頑張れライオンズ。頑張れセミ。頑張れ、俺。
 みたいな事を考えていそうな痩身のサラリーマンが、攻守交代の間にバックスクリーンに映ったが、一瞬のうちに若いカップルに切り替わった。(スイッチャー、バーガー片手に作業)

互いの投手が好投し、試合は動かぬまま6回。
六回裏 西武の攻撃(大義名分:もう始めてしまったことなので)
1アウト2、3塁で四番・山川、見逃し三振(全国の山川、遺書を清書する)
満塁で迎えたチャンス、六番・外崎に打順が回るがサードゴロ。(外崎の靴が外崎以上に悔しがる)
7回裏、オリックスは投手・ディクソンに代わり、山田。(山田て)
打たせて取り、この回も無得点。(毟ってん)
8回裏 オリックス投手・山田に代わり、岩本。(山田て)
1アウトランナーなしで山川、34号ホームラン!(全国の山川、遺書とケーキを一緒に焼く)
チャンスはなおも続き、2アウト1、2塁で代打・栗山(バットの先は印鑑)
オリックス投手岩本に代わり、山本。(山田て)
ここで栗山がライト前ヒット(押印)、3塁ランナーの森が走り、バックホームで懸命にタッチを狙うが、判定は、セーフ。(この瞬間、視聴率が奇跡の0)
今年から導入されたリクエスト制度により、映像判定に。その結果、アウト。
1− 1のまま延長12回、引き分けで試合終了。

 試合終了後、ベリーグッドマンが登場し、選手のために書き下ろしたという曲「ライオン」を歌い上げた。(ほぼホーミー)

 結構楽しかった。

 

           次回の更新は9月26日(水)です