単行本

『株式vs.不動産 投資するならどっち?』刊行記念ぶっちゃけトーク

このたび刊行になりました『株式 vs. 不動産 投資するならどっち?』の座談会から、本に入れられなかった「ぶっちゃけトーク」をご紹介します。 Photo:川崎璃乃

■メガ大家、ポケモン投資家、共食い大家、キラキラ大家

―――さんざん言われていることですが、2018年で不動産投資の潮目が大きく変わりましたね。

  アベノミクス以降は融資がゆるくて、銀行から次々に融資をひっぱるノウハウもあったようですが、かぼちゃの馬車というかスルガ銀行の件があった以上はもう使えないでしょうね。それまでは、裏ノウハウに近いやりかたで一定以上の年収のある人はいくらでも物件を買えた。それで一時期、メガ大家とかギガ大家という言葉が流行りました。ちなみにメガ大家というのは投資家けーちゃんの命名だそうです。

芦沢 1年で何億の資産を作ったとか、数年で十何億買いましたとか、華々しく言われていましたよね。

  そうそう。来たものは端から買います、とかね。詳しいからくりはさておき、無限に融資を受けて買えるような人が実際いたんですよ。数年前は「今週と来週で1棟ずつ買うぜ」みたいなことを普通に言ってたりして、私なんかは小さくなっていましたね。でも、私の仲間の投資家がそういう人に「どうしてそれで投資が成り立っているのか」と聞いたら、それに対する明確な回答はなかったらしいですけど(笑い)。

栫井 短期間に億単位の借金をするような投資を何件も繰り返すわけですから、すごい勇気と決断力ですよね。

  ポケモン投資家っていう言葉も流行ったみたいです。だれの命名かわからないんですが。融資がゆるかった時期には、全国各地どこでもいいからって、そうやってどんどん買っていった人がいた。つまり、ポケモンGOと同じで、収集が目的になっていくんですよね。でもそれは、投資家じゃなくてコレクターだよね、っていう。

―――いま、そういう人はどうしているんでしょうね。

  最近よく聞くのが、共食い大家っていう言葉ですね。そうやってどんどん買い進めてしまった人は、表面的にはキャッシュが残るように見えても空室や修繕費で大して手元に残らないような物件をたくさん持っているわけです。そういう人が今度は会員制の高額セミナーをやったりして、まわりの人を集めて搾取するわけですよ。共食いして自分だけ生き残ろうとするから、共食い大家(笑い)。

沢孝史氏

 

芦沢 そういえば、SNSで不動産投資をしてる若い人が「これヤバくない?」と言って紹介していたんですが……。これから不動産投資をやりたいという人にコンサルティングをしてあげます、ただし最初の頃はなかなか買えないので、まずは私たちが持っている物件をお分けします、っていうセミナーの告知がありましたね(笑い)。

  それはもう完全に、コンサルしますと言いながら、自分が持っている不良債権を押しつけようとしてるよね。手持ちの札の10枚のうち9枚がババ、ジョーカーなわけです。でも他にどうしようもなければ、セミナービジネスをやって出口を集めて売りつけるしかない。単なる高額セミナーよりも何倍も質が悪いですよ。まさに共食い大家ですよね。

栫井 初心者がそんなセミナーに行ったら、まさにいいカモですね。

  あとは共食いのためにキラキラ大家になる、っていうのもあります。キラキラ大家っていうのは、私は不動産投資でこんなに儲かっていますよっていう人が集まってシャンパンで乾杯、っていうようなのを言います。で、その輝きに惹かれて近づいていくと誘蛾灯に集まった虫みたいにパチッといって昇天してしまう(笑い)。
 

■不動産も株式も「買いが命」

―――振り返ってみると、沢さんが2004年から2010年までやっていた「お宝不動産セミナー」でも、最後のころになると、まだ物件を持っていない人たちが「不動産投資家」という肩書きの名刺を作って持って来るようになっていましたよね。そのあたりから不動産投資ブームが加熱してきた感じがしていて、そこからさらに数年で、短期間で不動産をこれだけ買いましたっていう人が出始めました。

  融資のゆるさがまずあって、ブームで物件価格が上がって利が薄くなったので規模拡大の方向に進んだ。そこに投資家同士のマウンティングが加わって、ちょっと変な方向に行っちゃった。まあそれも、融資が止まれば消えていくんだと思いますけどね。

芦沢 私も物件はずっと見ているんですが、マンションの区分もここ数年で価格が上がって買えるものがなくなってきた感じがします。情報として流れてくる物件数自体も減っていますし。それに、2018年の4月あたりからブツ上げ(買取り)の電話がぱったりなくなって、業者さんがいくつも「飛んだ」(つぶれた)という噂が流れてきました。融資という血液が流れなくなったからでしょうか。

栫井 多額の融資を受けて買い進めてしまった人たちには、どんな出口があるんでしょう。

  返済ができている間は何とかなりますが、滞り始めたらまずはリスケ、リスケジュールをするんでしょうね。銀行はそうした物件をいっぺんに全部処理しようとは思わないでしょうから、期末ごとにもう無理だと判断したものを貸倒れ損失を使って少しずつ処分していくのかな。今期は貸倒れにするのはここまでだからもうちょっと待っててね、っていう感じで、もうすこしすると、はいお待たせしました、あなたの順番が来ました、っていうことになる。普通に考えるとそうだよね。

栫井 やっぱり、株式投資だけじゃなく不動産投資も「買いが命」なんですね。高値づかみをしてしまうと、リカバリーするのに大変な苦労をすることになる。

芦沢 その点は同じですね。ただ、株式投資に比べて不動産は情報がオープンになっていない部分があるのと、一般には借入れをして購入するというハードルがあることもあって、コンサルに頼りたくなるのかもしれません。

2019年3月6日更新

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栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

栫井 駿介

つばめ投資顧問代表、株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

沢 孝史(さわ たかし)

沢 孝史

不動産投資家。1959年静岡県生まれ。法政大学卒業後、大成火災海上保険
株式会社入社。1991年に退社し、コンビニ経営を始めるが半年で廃業、再
びサラリーマンとなる。1998年に数百万円の元手から不動産投資を始め、
現在の不動産収入は年間1億円を超える。著書に『お宝不動産で金持ちに
なる』『不動産投資 成功へのイメージトレーニング』(ともに小社)ほか。
 

芦沢 晃(あしざわ あきら)

芦沢 晃

兼業個人大家。1958年生まれ。都内某大学大学院で電気工学を専攻し電気メーカーに入社。1989年に自宅中古マンションをローンで購入するが、住替えで担保割れとなり賃貸に出す。これ以降、手探りで不動産投資をスタート。現在、都心~京浜地区を中心に現金買いした中古区分55室(54棟にて)を運営中。家賃収入の手残りは年間約2700万円。著書に『中古マンション投資の極意』(小社)、『東京オリンピック直前版 “中古ワンルームマンション"投資の秘訣!』(ごま書房新社)ほか。

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