佐藤文香のネオ歳時記

第22回「獺(かはうそ)」「フットネイル」【夏】

「ダークマター」「ビットコイン」「線上降水帯」etc.ぞくぞく新語が現れる現代、俳句にしようとも「これって季語? いつの?」と悩んで夜も眠れぬ諸姉諸兄のためにひとりの俳人がいま立ち上がる!! 佐藤文香が生まれたてほやほや、あるいは新たな意味が付与された言葉たちを作例とともにやさしく歳時記へとガイドします。

【季節・夏 分類・生活】
フットネイル

傍題 ペディキュア

 近年ジェルネイルが流行し、ネイルサロンなどでは「ネイル(ハンド/フット)」と呼ぶことが増えた。ペディキュアとは足に塗るマニキュアで、フットネイルに含まれる。というのをちゃんと理解したのは、実は昨日のこと。私自身はマニキュア・ペディキュアが苦手で、たまに塗ってみることはあるもののお見せできるような仕上がりにはならず、できる限り話題にするのを避けてきたからである。しかし、そんな私にも、「フットネイル」について書く上で心強い助っ人がいることを思い出した。ネイリストをしている2歳上の従姉だ。
 聞くと、やはり「フットネイルのオーダーは夏が圧倒的に多い」とのこと。普段は手にネイルができない職業の方、たとえば看護師さんなんかにも、サンダルを履くシーズンだけフットネイルをしてほしいと頼まれることが多いという。また、ハンドネイルと違ってフットネイルは隠せるからだろう、ハンドネイルより派手な柄や色にする傾向があるらしい。たしかに、サンダルやミュール、素足のときでないと見えないから、たまたま目に入ったとき、インパクトがある方がセクシーと言えるかもしれない。余談だが、「お年を召された方ほど派手な色を選ぶ」そうである。これは足に限らないだろうが、ベージュやくすんだ色のネイルがかわいいと思う感覚は、たしかに今の若い人らしいもののような気がする。
 小指の爪がガタガタでとても色なんか塗れない、みたいな状態のときはどうすればいいかと聞くと、最近はパンプスや生活環境のせいで、巻き爪になったり爪が取れたりする人もいるため、ネイリストのあいだで巻き爪矯正など、足について幅広く勉強するのが主流になってきているそうだ。ただ爪を塗られるのではなく、足の悩みも解決してもらえるのは嬉しいので、一度ネイルサロンに行ってみたいなと思ったが「ハンドより長持ちやから値段も少し高いよ♡」とのこと。調べてみたところハンドネイルより工程が多い場合もあるようだ。だいたい5000円〜8000円といったところであろうか。オシャレにお金をかけられる人のかっこよさがわかる値段だ。
 私は現在爪に貼るだけのシールのようなものを足の爪にのみ貼っていて、しかし貼ってからもう1ヶ月近く経ったので、そろそろチェンジしようと思っているところ。ネイルサロンに行くにしろ、自分でがんばるにしろ、せっかくなのでこの夏は、気に入るような色・柄にしてみよう。誰かに見せたいというよりは、自分で毎日足を見るたびにイイ!と思って夏を過ごしたい。きっと、涼しくなりきらない夏の夕暮れに、サンダルでだらだら歩いてスーパーに行くのも、ちょっと楽しくなるだろう。

〈例句〉
喩としてもフットネイルに石四つ 佐藤文香
服着る前に私のペディキュアを落として
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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