ちくま新書

「不安解消への処方箋」を提示した、入魂の一冊!

会社や学校で、「雑に扱われているかも」と感じたことはありませんか? 現にそうした事態が進行していることを深く危惧した研究者と、ソーシャルワークの第一人者たちが結集して書かれたのが、この本。身近なところから少しずつ変革していくのが、ソーシャルワーカー。かれらが、暮らしの「困りごと」と向き合い、人びとの権利を守る上で何が問題となっているのか、そもそもソーシャルワークとは何か、未来へ向けてどうすればいいのか、をまとめました。「不安解消への処方箋」を提示した入魂の一冊。その「はじめに」を公開します。ご一読を!!

 ソーシャルワークってなんだろう? 
 こんな問いが投げかけられてから、もうずいぶん時間がたったような気がする。「社会のしごと」と聞けば公務員を想像するかもしれない。ちょっと知識のある人なら「ああ、あの資格を持っている人たちね」と答えることだろう。
 だけど、そんな誤解を解くだけなら、すでに多くの本が出されている。
 私たちは、次のステージに進んでいく。
 ソーシャルワークは歴史を動かす、私たちはこう主張するつもりだ。
 人権を守るためなら組織や専門性の壁を乗り越えろ、私たちはそう提言するだろう。
 ソーシャルワークは、眼の前にある人間の暮らしの困りごとと向きあう。人びとの権利を守るというその一点において、周辺の環境、社会のかたちすらをも変えようとする。
 それだけじゃない。自分たちがとらわれているこの社会の構造や目に見えぬ圧力を自覚しながら、自分も含めたすべての人間の解放に挑んでいく。
 「資格を持つ人たち」ではなく、「ソーシャルワーカー」が社会に居場所を見いだせれば、経済的な不正義はもちろん、文化的な不正義がはびこる社会をも終わらせられる。
 そんな信念、熱情、そしてひそやかな誇りとともに、ソーシャルワークと日本のこれか らを語りあったのがこの本だ。
 迷いがないわけではない。ソーシャルワークが歴史を動かすのだ、こんなことを訴える人たちは、どう考えても、暑苦しい。でも、冷静に制度の問題点を語り、その改善を訴えた本は数えきれないが、ちっともよりよい社会は訪れやしない。
 私たちは、社会や福祉の「制度」ではなく、必要とされる「人のかたち」について語っていかなければならないと考えている。でなければ、私たち一人ひとりの生きづらさが加速する、歴史の加害者に成り果てる、本気でそう思っている。「絶望の過去」を「希望への挑戦」に作り変える、そのためのキーワードは「気にかけること(=ケア)」だ。ソーシャルワークの過去と現在、理論と実践、そしてそれらがつむぎ出す日本社会の未来について、立場をこえて、全身全霊で語り尽くしていきたい。


井手英策・柏木一惠・加藤忠相・中島康晴
 

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