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ハングルは簡単に覚えられる!

『高校生からの韓国語入門』ためし読み

K-POPやドラマで韓国に興味をもったなら、ぜひ韓国語を勉強してみよう。日本語と似ているし、ハングルも実はかんたん! twitterで人気の「ゆうき先生」がイラストをまじえてやさしく教える一冊『高校生からの韓国語入門』より、「第1章 ハングルって難しい?(文字・発音編)」の冒頭を公開します!

 「難しそう」「宇宙人の暗号みたい」「絶対読める気がしない」。

 いずれもハングルを初めて見た日本人がよく口にする感想です。

 ○や□やいろんな棒が上に下に入り乱れてパッと見たところ非常に複雑な印象を受けるハングル。元となった物の形を連想できる漢字や、曲線が多くて柔らかい印象を与えるひらがなに比べて、ハングルはなんだか無機質で、文字というより記号のように見えるかもしれません。

 しかもよく見ると、カタカナの「ス」のような文字もあるし、漢字の「己」や「人」や「大」のように見える文字も。さらにはアルファベットの「E」や「H」のような文字もちらほら……。

 こんな風に「見覚えがあるようでない」「読めそうで読めない」ところも、日本人にとってハングルに対する心理的なハードルを高める原因となっているかもしれません。

 韓国に旅行に行くと、街並みは日本にそっくりなのに看板や食堂のメニューはどれもこれもハングルで埋め尽くされていて(最近はずいぶん外国語表記も増えてきましたが)、目が回ってしまう「ハングル酔い」という現象も昔からよく言われてきました。同じアジアでも、中国の場合は言葉は通じなくても漢字を見れば大体の意味はわかるので、食堂などでもどんなメニューなのかあるていど見当がつけられるのですが、これがハングルだと一体どんな料理が出てくるのか、そもそもそこが食堂なのか文房具店なのか、それとも弁護士事務所なのかすら看板だけでは判断できません。

 このとっても難しく見えるハングル、実はちょっとしたコツさえつかめば信じられないほど短期間にマスターできるのです。

 皆さんの幼い頃を思い出してください。ひらがなとカタカナをマスターするのにどれぐらいの時間がかかりましたか? 個人差はあれ、おそらく何日も、あるいは何週間もかかったのではないかと思います。さらに日本語の場合はそれで終わりではなく、その後も漢字との果てしなき戦いが待っています。それらの苦行を終えてようやく、食堂のメニューや小説や新聞記事が読めるようになるのです。もちろん小学校に上がったばかりの子供が新聞記事をスラスラ読むことなど不可能です。

 ところがハングルの場合は、文字を学びはじめて数週間しか経っていない子供が、新聞記事や学術論文を(意味はわからなくても)声に出して読みあげることが可能です。15世紀、ハングルが作られたときに発行された『訓民正音(くんみんせいおん)』という書物にも「賢い者は半日、愚かな者でも一週間で読めるようになる」という文句が出てきます。後ほどまた述べますが、そもそもハングルは「誰もが簡単に読み書きできること」を目指して作られた文字です。ハードルの見た目の高さとは裏腹に、実際やってみると、そのハードルは拍子抜けするほど簡単に飛び越せるものなのです。

ハングルのしくみ(母音・子音・パッチム)

 さて、前置きがちょっと長くなりましたが、これからハングルをマスターするための話をしましょう。

 ハングルを読むためにはまず、その基本構造を知る必要があります。

 ハングル一文字の中に「母音」「子音」「パッチム(終わりの子音)」という3つのパーツが入っています。ここで理解を助けるために、皆さんがよく知っている英語と比較しながら話をしましょう。

 たとえば「サム」という人の名前をアルファベットで書くとどうなるでしょうか?そう「SAM」ですね。この綴りは「S(子音)」「A(母音)」「M(終わりの子音)」からなっています。英語の場合はこの3つを横に並べて書くのですが、ハングルはこれを一文字のなかにギュッと詰め込んでしまいます。つまりこんな感じです。

 そしてそれぞれの音を表すハングルはこんな形になります。「S→ㅅ」「A→ㅏ」「M→ㅁ」。これをさっきの図にあてはめてみると……。

 そう。「삼」となります。アルファベットでは3文字必要だった発音が、ハングルにすると一文字に圧縮されるのです。

 終わりの子音であるパッチムがない文字もあります。たとえば日本語話者には「ヒ」という音に聞こえる文字がそうです。まずアルファベットにしてみましょう。「HI」つまり「H」と「I」ですね。それぞれの音を表すハングルは……「H→ㅎ」「I→ㅣ(形の偶然の一致!)」です。そのため出来上がるハングルは「히」です。

                      では、ここまで習ったことを応用して韓国語で「力」という意味の「HIM」という単語をハングルで書いてみましょう。「H→ㅎ」「I→ㅣ」「M→ㅁ」でしたよね。なので、正解は……。

 

 どうですか? 今まで漠然と記号が無秩序に並んでいるように見えていたハングルに、少しずつ規則性が見えてきたんじゃないでしょうか。では今から本格的に、ハングルで表される母音や子音を見ていきましょう。

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