冷やかな頭と熱した舌

第20回
新店の選書について
―8つの苦しみ

5月19日に盛岡駅ビル、フェザンに2店舗目の出店をするさわや書店、その新店舗「さわや書店ORIORI店」の店長を務めることになった松本大介さんによる開店までの道のりを〈店長日記〉として公開します。
本屋の店長は、その任を受けて開店までにどんな準備、業務をしていくのか? ぜひご一読ください。
…さて〈ORIORRI店〉の由来とは?

■店長日記③

4月1日(土)
今年は噓をつく間もなく過ぎ去ったエイプリルフール。
帰り道に「じつは新店なんか出ませんよ」というつぶやきは虚しくこだました。空に浮かぶ細い月が満ちる頃、選書の締め切りがくることを思うと、胃のあたりがキュッとせばまり憂鬱になった。

4月3日(月)
盛岡文士劇の脚本、演出を手掛けるM又さんとご一緒させていただく。桜山にまだまだこんな素敵な店があったとは。岩手県の文士の話を聴きながら、一時選書のことを忘れる貴重な気分転換となった。

4月5日(水)
ORIORI」に込められた意味を常連さんに聞かれたので、「折々の四季」、「織物のように重ねられた歴史」、「紡ぐ=物語」などと真面目に答える。納得してもらえたようだったが、反対から読むと「IROIRO」になるという裏コードは、当分の間ふせておいた方がよさそうだ。

4月6日(木)
欅坂46のデビュー1周年。不協和音を恐れてはいけない。

4月8日(土)
息子の誕生日だが、選書の締め切りが近いため休日出勤。プレゼントも用意してやれず、不肖の父を許しておくれ。

4月10日(月)
選書の締切日だった。提出し終えても全く達成感がない。Webちくまの締め切りも今日だったせいだろうか。

4月11日(火)
本日からオープニングスタッフの研修が始まった。緊張している様子の彼らを見ていて、自分が新人の頃を思い出す。うん、僕よりはましだ。

4月12日(水)
新店で一緒に働くこととなる竹内店長(第19回を参照)と打ち合わせ。やることの多さにめまいを覚える。だけど、少し話すとすべて分かってくれる「共有感」がハンパない。これがずっと一緒にやってきた強みだなと、心強く感じた。

4月13日(金)
IBCラジオ「朝からRADIO」のBookナビコーナーに出演。林真理子さんの『我らがパラダイス』(毎日新聞出版)を紹介した。昨年、今年と毎日新聞出版の文芸は勢いに乗っている。本書もグイグイと読ませる力が凄い。

4月15日(土)
久しぶりの休みだったが、体調を崩してしまい一日中寝て過ごした。

4月16日(日)
昨日に引き続き、寝て過ごした。食べても戻してしまうのでまる2日絶食。

4月17日(月)
本調子ではないが出勤。

4月18日(火)
体調がしんどくなってきた

4月19日(水)
通院のため休む。

4月20日(木)
復活。しかし、選書が試算の半分にしか満たないことが発覚。明日からまた地獄の日々が始まる。

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