確認ライダーが行く

第24回 アイスクリームボックスの確認

 スーパーやコンビニのアイスクリームコーナー。買う気がないときでも、のぞいてみたくなる。のぞく、あるいは、のぞき込んで選ぶお菓子って、アイスクリーム以外にあっただろうか?
 ちなみに、あのアイスクリームが入っている冷蔵庫は「冷凍ショーケース」という名でネット販売もされている。10万円くらいで買えるものもあり、もちろん一般家庭には必要ないけれど、手に入れられなくはない家電なのであった。
 冷凍ショーケースをのぞくのは楽しい。
 うんと小さいころは、大人に抱きあげてもらわねば中を見られなかった。自力でのぞきこめるようになるころには、すでに損得の勘定ができるお年頃。
 アイス買っていいよ、と親から手渡された50円。
 この50円で、最高のアイスクリームを手に入れたい!
 子供たちは、たいてい50円玉一個しか与えられないから、選ぶの、もう必死。
「わ、それいいな」
 と、友達にうらやましがられるような一品を入手したい。真夏の午後、冷凍ショーケースに手を突っ込んで商品を引っ搔き回した。
 今でも覚えている。
 ケースの底の角の方に手を伸ばして取った棒付きのアイスキャンデー。銀色の包みで、オレンジ味だった。他の子たちがどれだけ探しても、それ一個しか出てこなかった。わたしは自分の戦利品を自慢げに幼なじみたちに見せびらかして食べたわけだが、今から思えば、あれって去年の残りものだったのでは……。
 そんな思い出とともに、大人になってものぞき込んでしまう冷凍ショーケースのアイスコーナー。ハーゲンダッツのような高級アイスも現れ、多少の値段のバラつきはあるものの、当時とそう大きくかわってはいないように思う。似たような価格、似たような大きさ、食べ終える時間もほぼほぼ同じ。
 アイスクリームを商品開発している人々のことも、ちらりと頭をよぎる。似た特徴の商品だからこその、他社との差別化&競争。
 昔、会社員をしていたころ、となりの部署は商品開発部だった。食品ではなかったものの、ひとつの新商品が生まれるまで、アイデア会議、市場調査、社内社外の数々のアンケート、試作品、デザインやネーミングなど、たくさんのハードルを飛び越えなければならなかった(ようだ)。
「こんなのあったら欲しいよね!」
 という胸躍るアイデアがすんなりと実現するということはまずなくて、できるだけ近づけられるようにがんばる、という姿を見てきたものだから、開発者たちへの敬意も自然と湧きあがってくる。
 新商品のアイスクリーム。
 たとえばストロベリーアイス。果汁だけでなく、ストロベリー果肉を入れるのには、相当の荒波を乗り越えてのことだったのではなかろうか。どうやったら会議で通るか、頭を抱えた夜もあっただろう。
 あれこれ想像しつつ、スーパーの、あるいは、コンビニの冷凍ショーケースを確認するわたし。
 もし、わたしがアイスクリームの新商品の開発を任されたなら、ナニ味にするだろう?
 栗好きだから、やはり栗は入れたい。
 できれば甘露煮ではなく、蒸しただけの素朴なやつ。
 栗とメロンは意外と相性がよいので、それをメロンの果肉がゴロッと入ったバニラアイスにまぜ、ハチミツのやさしい甘味をプラス……などと考えるのは、もはや娯楽である。
 冷凍ショーケースの中には、つかの間の気分転換も入っているのであった。