【季節・冬 分類・生活(飲食)】
グラタン
傍題 牡蠣グラタン
グラタンをつくるのは面倒くさい。かんたんに言っても、マカロニを茹で、玉ねぎなどの具を炒め、ホワイトソースをつくり、それらをうまいことオーブンで焼かなければならない。手を抜くためにホワイトソースを市販品で済ませようとすると、劇的にカロリーが高くなる。我が家の料理は私が担当してるが、はっきり言って料理が好きなわけでも得意なわけでもないので、ハンバーグや天ぷらなど、つくるのが面倒なものは「家でつくらないメニュー」として登録されており、グラタンももちろんそこに含まれる。「家でつくらないメニュー」は、買ってきて食べるか外で食べるかのどちらかとなっている。なお、私がいないとき、夫は必ずと言っていいほどセブン-イレブンのハンバーグを食べている。
でも、グラタンは好きだ。母親がつくってくれたのは牡蠣グラタンが多かったと思う。今でも好きな食べ物ベスト3に入るほど牡蠣が大好きだが、当時からグラタンといえば牡蠣、鍋といえば牡蠣、というくらいに牡蠣を欲していた。自家製の牡蠣グラタンにはとろけるチーズを大量にふりかけるのがコツで、というのも実家のグラタン用の耐熱皿は深かったため、下の方を食べるときにチーズがなくなるのを避けたかったのであった。グラタンはなんといってもタマネギをバターで炒める匂いに心があたたまる。冬だ。そしてホワイトソースにダイブしたくなる。冬だ。牡蠣はすでに冬の季語だが、牡蠣グラタンはグラタンの傍題にしておきたい。
最近食べたものとしては、里芋のグラタンが秀逸だった。芋のねっとり感にホワイトソースがからみ、さらにチーズがのびる。里芋は秋の季語だが、この料理は絶対に冬のものだ。ねっとりもったり、ちょっとくどいぐらいが冬らしい。
しかし、グラタンを食べて残念だったという経験がある。私はセブン-イレブンのドリアが大好きで、298円のミートソースドリアやエビドリア、カレードリアなど、全種類制覇するぐらいなのだが、あるとき、エビドリアを買ったつもりがエビグラタンだったのだ。グラタンは好きだけど、ドリアと間違って買ってしまったグラタンには興味がない。思うに、ドリアはご飯、グラタンはおかずなのである。そして、グラタンに似てはいるものの、ドリアにはあまり季節感が感じられないのは、私だけだろうか。
〈例句〉
グラタンに乗るかねふくの明太子 佐藤文香
鍋敷のコルクに重く牡蠣グラタン