【季節・春 分類・生活】
ドローン
傍題 無人航空機 マルチコプター
先日ヨドバシカメラでふらふら歩いていたら、ドローンが売られていて驚いた。一般人もドローンを飛ばしていい時代が来ていたのか、と。調べてみると、仕事で使う分にはライセンスなどもあるようだが、趣味の場合とくに資格が要るわけではないらしい(200g以上の大きいものを飛ばすとなると、許可を取って航空法を守らなければならないようだ)。という話を俳句友達のRにしたら「ドローンって春っぽいですよね」と言われた。たしかに、春は世界を俯瞰する季節のようにも思える。R曰く、「すでにある季語だと「野遊び」的なイメージじゃないですか?」。「暖かくなってきたし、ちょっと飛ばしとくか」と、春の光のなかへドローンを飛ばすのだろうか。たしかに、「しゃぼん玉」や「凧」なども春の季語で、家の近所でできる気軽な遊びだ。さらにRは「蕪村の〈凧(いかのぼり)きのふの空のありどころ〉、これ上五「ドローンや」でもいけません?」と与謝蕪村に対して挑戦的な発言。なるほど、〈ドローンやきのふの空のありどころ〉、内容的には全然問題ない。ただしけっこう雰囲気は変わります。
ドローンという言葉、個人的にはすごく好きである。英語では雄蜂という意味だが、非常に日本語っぽいのだ。お化けのシーンなどでよく使われる、姿を消す意味の「どろん」を誰もが思い出す。古くからある和語には濁音で始まる言葉が少なく、たいがいは俗っぽいものや良くないイメージを表すオノマトぺであることが多いのだが、「ろーん」の部分がちょっとかわいいのである。
余談だが、私の好きなバンドであるかえる目に「ドローン音頭」という曲がある。
ドローンさんよ ドローンさん
空を見上げりゃ空にいる
きっといつかは世の中を
見渡す星になりたいと
願うわたしの目玉になって
飛んでゆくゆく
ドローンどーろどろ
(かえる目「ドローン音頭」作詞・作曲:細馬宏通より)
ドで始まってドで終わる、しかもそのなかでオンが2度繰り返される(ローン・音)「ドローン音頭」という曲名のよさ、75調をベースとした踊り出したくなるリズム。そして「ドローンどーろどろ」という歌詞が素晴らしく、「ドローン」という言葉を聞くたびにこの歌をくちずさんでしまう。
〈例句〉
ドローンにピザ持たせ全国的に昼 佐藤文香
ドローンの下やどろおんをぢさんゐ