ちくまプリマー新書

マヤ文明の驚くべき天体観測と暦の話
『古代文明と星空の謎』より本文を一部公開

ストーンヘンジ、ピラミッド、古墳、数々の暦、民話――人類と星空の関係を読み解く一冊『古代文明と星空の謎』(ちくまプリマー新書)が好評発売中! 本書が扱う「古天文学」は、いにしえの人たちが星空をどのように眺め、何を見出してきたのかを歴史上の遺跡や記録などを手掛かりに読み解く研究分野です。今回の記事ではマヤ文明の宇宙観、すぐれた天体観測技術と暦の関係をひもときます。

太陽暦と儀礼暦と金星

 52年で太陽暦と儀礼暦がひとめぐりする「カレンダーラウンド」についてはすでに説明しましたが、この金星の会合周期も合わせたカレンダーラウンドについても、考えてみましょう。

 太陽暦が104年経つと「365日×104年=37960日」です。

 儀礼暦が146年経つと「260日×146年=37960日」です。

 金星の会合周期が65サイクルすると「584日×65サイクル=37960日」です。

 このように、太陽暦、儀礼暦、金星の会合周期がすべて37960日(太陽暦104年)で1年の始まりの日が一致する「カレンダーラウンド」になるのです。

 よって、マヤ文明では、この「37960日(太陽暦104年)」の周期が重要な意味を持つと考えられています。

長期暦

 三つめの暦である「長期暦」は、紀元前3114年8月11日を基準にして、そこからの経過日数で表す暦です。

 日数の単位は「キン」「ウィナル」「トゥン」「カトゥン」「バクトゥン」と上がっていきます。

 1キン=1日。1ウィナル=20キン(20日)。1トゥン=18ウィナル(360日)。1カトゥン=20トゥン(7200日)。1バクトゥン=20カトゥン(14万4000日)です。

 そして、13バクトゥン=187万2000日=約5125年となり、この13バクトゥンが過ぎたとき、長期暦がいったんリセットされます。

 この長期暦が遺跡に残っている場合も多いので、遺跡の年代を特定する資料になっているそうです。

 この章では、主にマヤの暦について解説しましたが、マヤ文明そのものが非常に面白いので、興味のある方は、ぜひ、いろいろと調べてみてください。


 

ストーンヘンジは夏至の日の出を示し、
ピラミッドは正確に真北を向いている。
人類と星空の関係を読み解く!

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