生命の起源は単一か
タンパク質のもととなるアミノ酸を指定するDNAの暗号(コドン)が、現在のどの生物でも同じということは、われわれ地球上の生物は、遠い昔に共通の祖先(単一の祖先)を持っていたということを強く示唆しています。
もう一つこれを示唆するのが、アミノ酸の構造です。同じ構成要素を持っているアミノ酸の中には、その立体的な構造がちょうど右手と左手の関係(鏡に映した関係=鏡像)になっているものがあります。そのタイプによってL型、D型といいます。化学的な性質はまったく同じはずなのに、なぜか地球の生物はL型のアミノ酸しか使っていません。しかし、宇宙起源のアミノ酸、例えば炭素質コンドライト(隕石の一種)から検出されるアミノ酸は、L型もD型も等量です。つまり、最初の生命が利用したのがたまたまL型のアミノ酸だったために、それを祖先とする生物がL型を使い続けたという可能性が高いということになります。

こうしたことから、現在地球上にいるすべて生命は共通の祖先があって、それからわかれたものと考えられます。ただ、地球上での生命発生はわれわれにつながる1回限りだったのか、それとも何回もあったが他の系統は誕生してもすぐに滅んでしまったのかはわかっていません。
イラスト:たむらかずみ