「新幹線の生みの親」と呼ばれとった十河信二という人は愛媛の出身やったんやって。こんな速くて快適な鉄道を作ってくれとること、現代人はもっと感謝せないけん。やけん、日頃から愛媛の方には足向けて寝れんて心持ちでおらないけんよ。
というわけで、単独ライブのツアーは十河さんのおかげで終始ご機嫌な旅だった。そもそも数日家を空けると決まった時点でもうワクワクが止まらない。そうだ、新幹線では普段飲まないジュースを飲んで、公演後にはご当地グルメを堪能、ホテルに戻ったら大浴場をめいっぱい楽しもう。最高の一週間の始まりだ。
にしても、どえりゃあ暑いだがね。でら暑いだがね。地形の関係で他の県よりも熱がこもりやすいとかなんとか、名古屋駅に降り立った瞬間熱気がすごいんだみゃー。風も全然にゃー。だで、こりゃあ1時間半も公演するのはえらいで、と思ったがや。だもんで多少の不安はあって本番前は緊張、両手も手羽先なっとったけど、ライブが始まってしまえば楽しい楽しいで、え? もう尾張? なんてもんやったぎゃー。一日だけなんてもったいにゃーにゃーぎゃーぎゃーりゃーりゃーわーわー言うとったら次の日にはもう大阪や。
そら大阪生まれの人間が単独で大阪公演するいうたら、ホームもホーム、伸び伸び好き勝手にやれんのちゃうか? なんも知らんもんはそう思うかもしれへん。せやけど、こっちはそんな呑気に構えてられへんのが今までの経験でわかってるわけや。東京に魂売った(この言い方したがるやつ多いわ、やかまし)芸人をみるお客さんの目は、どういうたらええかな、「なんぼのもんか知らんけど、ほな笑かしてもらいましょか」、そう言うてるように思うわけや。せやさかい、いつも変に肩の力入ってまう、っちゅうーわけやな。そない思っとってな、ほな実際に今年はどないやったか? それがやな! あったかかったんや! なんやねん! あったかいがな!! なんやったら他の会場よりもようさん笑てくれてやな!? えらい心配しとったんがアホみたいやったわ! 誰がアホや! ウスターかけたろか!
いかんばい。人にウスターかけたらいかんばい。そげんうるさか声ば出さんどって。やけん声が飛んだっちゃよ。毎年毎年、懲りもせんとハスキー声。博多着いてすぐに漢方の店探したと。出てきた店主が「どげんしたと?」言う前に「響声破笛丸」てかすれる声で言うたっちゃ。そしたら店主「ここで飲んできい〜」て、白湯まで出してくれたばい。漢方は魔法。みるみる声が出るようなって、楽屋で鷹のように歌ってたちゃ。夜はみんなでもつ鍋食べに行っとっとっとっとっとっと。「と」はどこで止めたらええん? どこまでもや〜! そげん言うて盛り上がりよったら大浴場の時間逃したっちゃ。ちゃんちゃん。
離陸直後から感じる耳の痛みに苛まれながら、やはり帰路も新幹線が良かったなと思う。しかし旅を振り返る間もなく、飛行機はあっと言う間に羽田に着く。すごいよ。That‘s awesome! Wright Brothers! But, やっぱり私は新幹線で、窓からいろんな都道府県を感じたいと思う。そしてもっといろんなところ、愛媛にもライブに行けたら良いなあなんて、そんなふうに思いよるんよ。