●チェーン店とは思えない会話
高野 せっかくだから、写真を上流階級のほうから見てみましょう。
大竹 これは無人駅になってる二俣尾駅です。
この酒蔵は知らなかったんですけど。福生からちょっと歩いたところにある田村酒造場です。
高野 福生辺りに大竹さんも知らない酒蔵があるというのは、すごいですね。しかも、すごく立派じゃないですか。
大竹 すごい板塀で、蔵っぽい建物があって。大きな駐車場もあるから、蔵の見学ツアーみたいなこともやってるみたいで。煙突が見えたから確信して、入っていった。季節が夏だったので酒をつくってはいなかったんですけど、事務所はやってて酒を売ってくれて。あと街道沿いに有名なピザ屋があって。30年ぐらい前に行ったことがあるんですよ。懐かしかったですね。
ここは車も通れないようなところなんですけど、左側の草がバーッと生えてるところの向こう側に広い多摩川があって、その向こう側は八王子市です。
【啓明学園付近】
八王子とあきる野の間。啓明学園っていうすごく大きな私立の学校がすぐ近くにあります。小学校から高校まであって、地元では大変有名な学校だとうかがいましたけど。ここをずーっと歩いていく道には本当に何もなくて夏場は厳しい感じだったんですけど、それがとてもよくて。
高野 いい感じですよね。
大竹 その後たどり着いた飲み屋が「大吉」という赤い看板が目印のチェーン店です。
聞いたところによると、ここは全国で800店ぐらいあるらしくて。この仕事以降、普段行かないチェーン飲み屋を解禁したんですよ。今まではあまりチェーン店に行かなかったんですけど、チェーン店解禁でそこの「大吉」に入ったらすごく美味かったんですよ。感動しました。親父さんも同い年で、いろいろ喋ってたらお互いに子どもが3人いることがわかって「そうなのか!」と。親父さんは5人つくりたかったんだけど、奥さんから「焼き鳥屋の収入では3人が限界よ!」と言われた。「俺、そう言われて諦めたんすよ」って言われて「そうなのか」みたいな。
高野 とてもチェーン居酒屋とは思えない(笑)。
大竹 思えないでしょう。そこは大変思い出深い飲み屋になりまして。
先ほどの府中四谷橋付近ですね。広い道に出るちょっと前、程久保川は護岸がある普通の川なんですけど、この脇だけすごくきれいに整備されている。
春は桜が咲いてものすごくきれいなんですけど、ここは時々歩きます。
高野 大竹さんがこんなに美しい爽やかな写真を見せるなんて。
大竹 いやいや。わりかし、そういう子どもだったんですよ(笑)。
高野 何だか全然わからない(笑)。
●高尾山の天狗が現われた?
大竹 先ほど女の人が自転車でゴーッと行く土手をお見せしましたよね。あの土手を朝歩いてたら、川上のほうから黒ずくめの人がどこからともなく小走りでやってきた。「誰だろう。高尾山の天狗なのかしら。カラスかしら」と思ってたらやっぱり吉田類さんだったんです(笑)。
高野 「やっぱり」って(笑)。
大竹 僕が「吉田さん、おはようございます」と言ったら「誰?」って言うから、「大竹です」って言ったら「おお、大竹君じゃないか」ということでがっちりと握手して。
高野 面識はあったんですか?
大竹 ええ。「お互い、今日も夕方から美味しく飲みたいもんな」とか言って(笑)。
高野 吉田さんは何してたんですか?
大竹 ジョギングしてたんです。
高野 吉田さんは鍛えてるって言いますよね。
大竹 僕も柄にもなく、手でキコキコやるトレーニング器具を持ってたんですよ。吉田さんはそれを見て「やってるね!じゃあまた!」って(笑)。
高野 酒飲み二巨頭が偶然出会った。それは美しい話ですね(笑)