単行本

『株式vs.不動産 投資するならどっち?』刊行記念ぶっちゃけトーク

このたび刊行になりました『株式 vs. 不動産 投資するならどっち?』の座談会から、本に入れられなかった「ぶっちゃけトーク」をご紹介します。 Photo:川崎璃乃

■「投資は自己責任」の意味

  でも、株式投資の場合は、悪質コンサルなんてやりようがないじゃないですか。極秘の推奨銘柄を教えますなんて言って、セミナー1回につき100万円取るっていうようなことはないでしょう?

栫井 近いものはありますね。銘柄を教えるだけなので、ネット上が多いんですけれど、
月額20何万とか、ふつうに取っているところはありますよ。むしろ綿々と続きま
すね、株式投資は不動産投資みたいにお客さんがお手上げにはならないので。会社の名前を変えて、しぶとく生き残っています。 

  そういうのがあるんですね。過去の実績はこうです、とか言ってブランディングするわけですか。 

栫井 そりゃもう、数撃ちゃ当たる、ですから。実績はいくらでも出せます。 

芦沢 なるほどね。ネットのサイトを作るのはタダみたいなものだし、もっと言えば、過去に推奨していなかった銘柄でも、チャートを拾ってくれば実績はいくらでも作ることができるわけですね。   

―――そういうのに引っかかる人はいるんですか? 

栫井 私のお客さんでも、そういうところに引っかかった、っていう人はいらっしゃいます。で、そういう人に限って、「この銘柄を今買えばいいんですか?」って言ってきたりするんです(笑い)。こちらはバリュー株投資を謳っているわけですから、そういう宣伝をしていたつもりはないんですけれどね。
 

栫井駿介氏

 

芦沢 原因は、その人自身の考え方というか姿勢にありそうですね。結局、投資における自己責任っていうのがどういう意味なのか、わかっていないのかもしれません。 

  私も栫井さんのところの会員になっていますけれど、送られてくる推奨株の中で、これとこれはたしかに注目するけどあとはいいかな、っていう感じで見ていますね。栫井さんだって神様じゃないんだから、どの株が上がるのか100%わかるんだったら、面倒な投資顧問なんてやらないよな、って思って(笑い)。一生懸命分析して考えて、私はこう思っているんです、っていう意思表明であって、そういう考え方を参考にして、あとは自分流にどうアレンジして投資していくか。取捨選択とアレンジした部分の考え方が自己責任になってくるわけだよね。

■ 自分で考えて動く人が大きくなる

―――芦沢さんは独自路線で、区分所有の現金買いですよね、ずっと。 

芦沢 私は、自分の師匠は沢さんだと勝手に思っていますが、やっていることはまったく違いますね。不動産投資は個人最適っていうんですか、それぞれ自分に合ったやり方を自分で探すしかないと思ってやっています。   

栫井 芦沢さんと同じような区分の現金買いをしている人はそれなりにいらっしゃるんでしょうか。

芦沢 私のセミナーに来た人がやっていますね。素人のセミナーですが、10 年以上前に聞きに来た人が、おかげでいまサラリーマンを定年で卒業して子供も大学院にやれます、って言ってきたりします。私のセミナーに来て始めた人で、芦沢さんのせいだ、どうしてくれる、っていう人はいないですね。

  そういう人たちは時間をかけて買い増していったわけですよね。

芦沢 区分の現金買いっていうのは時間がかかるんですが、10 年以上コツコツやると誰でも破綻せずにうまくいっているんです。借金しないというところに安全性と再現性がある。必ず家賃が入ってくるし、不動産の一番の欠点である修繕は、積立修繕金で守られている。積立修繕金という防波堤があるところに、キャッシュフローが流れ込む、それでマイナスの借金はない、それがいいのかもしれないですね。 

  このあいだ小倉の投資関係の会合で会った女性が、「福岡で5,6年前に沢さんのセミナーを受けて不動産投資に目覚めました」「いまちょうど新築マンションを作っているんですよ」って言ってきたんですが、話を聞いてみると、バリバリやっててすでに資産総額 10 億くらいの規模になっているんだよね。すごいなあと感心しました。

―――沢さん、顧問料をもらえたんじゃないですか?(笑い)。

  ほんとだよね(笑い)。でも真面目な話、私が顧問になってたら、その人はそんなに大きくなっていなかったかもしれない。手取り足取り教えるっていうのは無理かな。そうやって誰かに教わったことをそのままやってちゃんと利益上げていくっていうのは、よほど運がよくないと難しいのかなって思います。私はセミナーできっかけだけは作るけど、あとは自分で考えて動く人が最終的には大きくなっていくんだろうな、って思いますね。
 

 

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