『うつくしい自分になる本 SELF CLEANING BOOK 3』刊行記念対談

【後篇】うつくしい自分になるには?

『うつくしい自分になる本 SELF CLEANING BOOK 3』刊行記念対談

後篇です。服部みれいさんの『うつくしい自分になる本 SELF CLEANING BOOK 3』の刊行記念対談です(2018年4月10日、青山ブックセンター本店にて行われました)。女優の太田莉菜さんが、この本をきっかけにして、心のうちのインナーチャイルドの話を語り始めます。そして最後はお二人のこれからやりたいことの話です。

●莉菜さんのインナーチャイルドの話

服部 太田さんはこの本を読んで、印象的だったことはありますか。

太田 インナーチャイルドの話がすごく印象的でした。自分の内なる子ども。あとは、親との関係だったり、切っても切り離せない、表には出てこないけれども、実は自分の中ですごい抱えているという問題です。この本の「インナーチャイルドをケアする」の章に出てきたAさん自身が抱えている問題をバーッと羅列してあるのを見て、すごいわかるな~と思って、泣いちゃったんですよ。でも、みんな結構、言葉に出して自分の思っていることや、いままで抱えてきたことをケアするというのはできないじゃないですか。それとどう向き合っていいかということすらも気づかない。一回すごくイヤなことがあると、自然と自分にいろいろなことが返ってくるから考えることもできるけれど、日々忙しくしている中だと、どこか自分に不調があっても、なかったことにどんどんなっていっちゃって。

服部 ああ、ほんとにそうですよね。

太田 でも、それが結構足を引っ張っていくから、インナーチャイルドに限らず、言葉の強さとか、波動とかありますけど、わたしの場合は、ふいに頭の中によぎった言葉を、第六感的に、すごく信用しています。

服部 へえ~、スピッてる!

太田 いえ、そんな(笑)。でも、人生が変わるタイミングにはなるんですよね、それが。

服部 でも、よくその声をキャッチできますよね。

太田 ほんと、ふいになんですよね。だから、自分の人生の転機って、わたしは腰がすごく重いから、何かするにも「面倒くさいな~」とか、「誰か助けて~」みたいな、誰かにやってほしいと思っちゃう。でも、大きく自分の何かを変えたいとか、変えなきゃと感じているときは、いろいろなことを自分の中に受け入れているし、見ているし、集大成的に、「ああ、いま、これをやっていたらダメ」とか、「このままだと苦しくなるな」とか、だいたいそういう感じがする。「いま変えなきゃ」という。

服部 その声がなかなか聞こえなくて、ずっとよくないループに入ってしまったりするものなんですけれどね。

太田 そのあとが大変です。

服部 ああ、そうか。その声を聞いてからの変化がね。

太田 全然それも不確かなものだから。たぶん、何か受け入れるというか、物事を感じ取る力というのは養っていかなきゃいけないんだろうな。

服部 ほんとに、ものごとを感じ取る力って、どうしたら身についていくのでしょうか? でも、さっき莉菜さんが核心を突いていたと思うんですけれど、人生で何らかの問題が起こるというのがひとつきっかけになりますよね。何か壁にぶつかったり、自分の限界を知るとか、子育てのことですごく悩むとか、家族のこととか、親子関係とか、仕事とか。だから、不調とか問題があったときって、実はチャンスかもしれませんよね。

太田 そうなんですよね。それを、どう自分の中で転機として捉えるかが、かなり大きいんじゃないかなと思うけれど、辛いときは、寝るならずっと寝ていればよいし(笑)。

 わたしはたぶん、いちばん辛いと思ったのは、自分を否定しながら生活すること。「こんなに寝ていたらダメ」とか、「ごはんをちゃんと作らないと、ダメ人間と言われる」とか、とにかく、日々生活に追われていることで、できていないことが少しでもあると、全部自分で首を絞めている状態になっていくから、「まあいいや、こういう日もある」と。「これが1週間ぐらい続いているな」とか、それぐらいの心持ちでいないとしんどいときもあるから、自分を否定することに、すごく疲れてきちゃう。

服部 そうなんですよね、本当に、自己否定のループにはまっちゃうときって……。でも、最近思うんだけど、落ち込み切るのも大切というか……。

太田 ああ、わかります。

服部 もう、とことん自分を責め切ったり、怒り切るとか、悲しみ切るとか、結構大事かなと。変に途中でポジティブシンキングで、「わたし、元気!」みたいに感情にふたをしないほうがよいのかなと思うようになりました。

太田 そうなんですよ。できないことは、できない。

服部 そうそう。

太田 とことん「クソだな」と思って(笑)。ごめんなさい、あるんですよ、そういう瞬間が。

服部 ある、ある。もうひとつは、太田さんは子育てをしておられますよね。いま日本で女性が子育てをしていると、母親としてちゃんとしないと、とか、そういう方向のプレッシャーが結構たくさんある気がします。

太田 かなりあって、ひとつでも他人から見て「普通じゃない」と思われたら、すべてそれが100%普通じゃないみたいな……。わたしが18歳ぐらいのときに、NHKか何かで西原理恵子さんがゲストで出ていた番組があって、すごく心に残った言葉があったんです。わたしはまだ子供を産んでいなくて。視聴者から、自分がシングルマザーで、仕事をしなきゃいけないし、でも、家の中は片付かないし、ごはんもちゃんとしたものを作ってあげられない。いつもいっぱいいっぱいで怒ってばかりと言ったときに、彼女が、店屋物でも、お母さんの笑顔が一番。家が汚くても、変な話、ご飯一杯だけだったとしても、死ぬわけじゃないから、お母さんの笑顔が一番というのを聞いて、心に残った。さっきのインナーチャイルドの話もそうですけど、子ども心に、日々、自分がどう環境から、例えば、一番身近にいるお母さんとかから影響を受けてきたかと思った。自分が大人になってからも。

服部 影響ありますよね~。そうなんだよね。

太田 わたしは母親に対してすごくいろいろな思いがあるし。なんか、そういったことというのは、未だにずっと自分は繰り返し、繰り返し、いろいろなことで「うまくいかないな」と思うことがあるけれど、やっぱり、楽しく暮らすのが大事。

服部 ほんとにそう。すごくシンクロして感動したのが、西原さんの話。いま『マーマーマガジン』のツイッターで、ここの(会場の)73人ぐらいが激しく盛りあがっている話題があって。子育て真最中のお母さんたちが最近すごく呟いていて、ちょうど西原さんのことを言っている人がいた。「ごはんを作れなくても、抱き締めてあげて」みたいなことが書いてあったかな。ほんとに完璧じゃなくていい。そのきっかけが、うちの読者さんで、母乳で育てているお母さんがいらして、だけど、ある人から「母乳って、栄養がないみたいだよ」と言われてとても傷ついたというツイートに、みんな、マーマーボーイ、マーマーガール(『マーマーマガジン』の読者)が、「そんなの大丈夫!」と言って、みんなで励ましている。いまは情報も本当に多いし、メディアに出てくる情報が完璧に見えてしまうんですよね。

太田 怖いですよ。文字にしちゃうと、全部それが本物に見えちゃうから。

服部 例えばですけど、お母さんが仕事をバリバリやって、5人子育てをして、家の中もピカピカって、ない、ない。それって、お手伝いさん(もしくはベビーシッターんさん的存在)がいますから。ほんとにそうですよ。一人でやっているわけがないのに、記事とか映像で見ちゃうと、「ああそういう人もいるんだ。一人で全部こなしてるんだ」って信じちゃう。またすてきに編集してあるしね。なにもかも「そうなのかな」と観ている人にインプットされちゃう。だけど、その記事や写真、映像の通り、なんてことは全然なくて、他人と自分を比較しないで、その場その場で大事なものから順番に大事にすればよいし、太田さんがおっしゃったとおり、子ども時代はほんとにそのときだけだから、お母さんの状態が良いことが大切。そして、お母さんの調子が悪いときもある。みんなに言いたいです。お母さんも人間だもん。

太田 だから、子どもに冷たくするときもありますし、あとのケアはしますけど、「もうごめん、ほんとに、いま無理」というときもある。見えないところで、お母さんに限らずだけど、わかりやすく言うと、お母さんという存在は、暗黙の了解でこうしなさいという、目に見えないものに押し潰されそうだったりするから。

 わたし自身は一山越えて、もう、周りが何を言おうが、結局、真実を知っている人、自分が一番繋がっているべき大事な人が本当のことをわかってくれていれば、それ以上に居心地の良いものはないというか、怖いものはないと思う。だから、いろいろなことの原因のひとつは、周りの意見に左右され過ぎること。

服部 そうですね。

太田 自分にとって居心地の悪い状態というのを、みれいさんの本で、「ジャッジしないでいろいろ書き出してみる」とおっしゃっていましたけど、それはすごく大事な気がします。

服部 そうそう。あと、よく自分の本で書かせてもらっているのが、自分と打ち合わせすることも大切だなと思います。みんな、仕事で忙しい人は外で打ち合わせをしたり、人と会ったりすることがいっぱいあるし、子育て中の人、家事をしている人はそのことに夢中になっている。でも、意外に現代人は、自分と打ち合わせしていないですよね。

 自分が本当はどういう生活をしたいとか、どのように時間を過ごしたいとか。その打ち合わせこそすごく大事だと思うんです。さっき、自分のことを本当の意味でわかってくれている人がいれば大丈夫だって。本当に、一人でもよいと思うんですよね。真実をわかってくれている人が一人いたら、生きていける。それで、わたしはもう一人必要だと思っていて、それは自分自身だと思うんですよ。最後の最後は自分が自分のインナーチャイルドの味方である。もう、自分が自分を否定しちゃったら……。

太田 心底キツいですよね。

服部 そう、キツいですよね。だから、自分のことをわかってくれる誰か友だちと、あとは、自分自身が自分の味方になるということが、最近特に大事なことだと痛感しています。

太田 ほんとにそう思います。

服部 すごくシンプルで、それがしっかりできてさえいれば、比較的、生活がワヤクチャでも、家の中がグチャグチャでも、ごはんが毎日つくれなくても、わたしも全然毎日つくれないですけど、それでもべつに自分を責めることなく過ごせる。そうそう、こういう本を出しているから、わたしがとってもすばらしい暮らしをしていると思っている人が(この会場の中にも)98人ぐらいいるんですよ(笑)。でもね、全然そんなことない。どうしようもないものを食べたりもするし、もうね、部屋も本当にひどくちらかっている時期が必ずある。

 だけど、そこは、自分が自分の味方をしているところがあって、私の中で優先順位があるんですよね。わたしにとっては、『マーマーマガジン』がある意味子育てだったり、仕事の大事なことだったりするんだけど、そこからが優先順位なんですよね。だから、部屋が汚くてもよいことに自分の中でしています。

太田 それで全然よいと思います。「部屋を片づけろ」と責め立てられるほどのストレスはないです、わたしは。人生の半分以上は外に出ているときに、「ああ、家が片づいていない。片づけなきゃ」という気持ちでプレッシャーがかかって(笑)。

2018年6月20日更新

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服部 みれい(はっとり みれい)

服部 みれい

文筆家、詩人、『murmur magazine(マーマーマガジン)』、詩とインタビューの本『まぁまぁマガジン』『murmur magazine for men(マーマーマガジンフォーメン)』編集長。冷えとりグッズを扱う「マーマーなブックス アンド ソックス」(mmbs)(murmur-books-socks.com/)主宰。著書に、『あたらしい自分になる本 増補版 SELF CLEANING BOOK』『自由な自分になる本 増補版 SELF CLEANING BOOK2』(ちくま文庫)、『わたしの中の自然に目覚めて生きるのです』(筑摩書房=刊)、『わたしが輝くオージャスの秘密』(蓮村誠=監修、ちくま文庫)などがある。

服部みれいHP☞ hattorimirei.com/

太田 莉菜(おおた りな)

太田 莉菜

1988年生まれ千葉県出身。2001年にモデルデビューし、その後数々のファッション誌などで活躍。 04年には映画『69sixty-nine』(李相日監督)のヒロインでスクリーンデビュー。以降は女優としても、映画、テレビドラマ、舞台などで活躍。 主な出演作に、映画では『ユモレス 逆さまの蝶』(06/猪俣ユキ監督)、『脳男』(13/瀧本智行監督)、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』(全7章&長編劇場版・14/押井守監督)、『ホットロード』(14/三木孝浩監督)、『海月姫』(15/川村泰祐監督)、『テラフォーマーズ』(16/三池崇史監督)、『君と100回目の恋』(17/月川翔監督)、テレビドラマでは『私という運命について』(14/WOWOW)、『ロング・グッドバイ』(14/NHK)、『ラブラブエイリアン』(16/CX)、舞台では『怪獣の教え』(16)など。

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