PR誌「ちくま」特別寄稿エッセイ

「人生の教科書」コレクション、創刊です!

5月から、ちくま文庫内シリーズとして、藤原和博さんの「人生の教科書」コレクションがスタートしました! 藤原さんのこの5年ほどの著作の中から8冊を厳選し、それぞれまた厳選された著者とのコラボをして、文庫として刊行していきます。藤原さんからのアツいメッセージをお届けします。

 私の著述家としてのスタートは一九九七年発売の『処生術』でした。この二三年間で文庫や新書を含めて八二冊の本を出版し、累計一五〇万部となっています。共著の『16歳の教科書』は四五万部以上売れてますから二〇〇万部と言いたいところなんですが、自分がイニシアティブをとった書籍の実発行部数でカウントすることにしています。
 その間、一貫して追ってきたテーマは、成熟社会における新しい「働き方」「生き方」でした。当初はとんがりすぎていたからでしょうか、話題にはなってもそんなに売れなかった記憶があります(笑)。
 でも、五冊目の本となる『人生の教科書[よのなか]』(のちに『人生の教科書[よのなかのルール]』として文庫化)がシリーズ一〇万部以上のヒットとなりました。
八二冊で一五〇万部ですから、単純計算すれば一冊あたり一万八〇〇〇部になります。
一〇〇万部のホームランはないが、結構ファンが付いている三割打者。バントやポテンヒットや盗塁もしながら、確実に「売り上げが計算できる」著者というのが、出版界の評価だったかもしれません。
 それがこの五年ほど、発売した本が五万部前後売れるようになってきました。
 時代が、私の提案する「働き方」「生き方」に追いついてきたという評者もいます。会社人間が会社内「個人」として覚醒し、副業や週末起業などを経て個人としての自立を達成する流れが、定着し始めているのではないかと思います。
 ユーチューブでもホリエモンや落合陽一さん、キングコング西野亮廣さんらとのトークが評判で、講演動画も一五〇万超視聴されています。講演の累積回数も、昨年一五〇〇回を超えました。

 そこで、この五年間で話題になった著書を皮切りに、ちくま文庫におすすめのビジネス書を集約し、〝藤原和博「人生の教科書」コレクション〟としてお届けすることにしました。
 まず五月に『本を読む人だけが手にするもの』からの創刊です。この本は書店さんに愛されて九刷の隠れたベストセラーとなり、中国語にも翻訳されました。
「本を読むのは、その著者が長い時間をかけて調べ構想した世界観を含めて、著者の脳のカケラをレゴのように自分の脳にカチッとはめ込むことだ」という主張が評価されたものです。今回は、文庫によくある単純な解説ではなく、年間五〇〇冊は読むという読書家であり『人生の勝算』『メモの魔力』のベストセラー作家でもあるショールームの前田裕二さんの文章を巻末に収録しています。
 六月には『必ず食える1%の人になる方法』をキンコン西野さんとのコラボで出版します。
 もともと「人生の教科書」シリーズでは、重松清、茂木健一郎、隈研吾と時代の流れをつかんだ作家や著名人に解説と推薦をお願いしてきましたが、今後も新鮮なコラボを続け、ただの文庫ではない味わいを演出していきたいと考えています。
 その後、『10年後、君に仕事はあるのか?』『処生術』『35歳の教科書――今から始める戦略的人生計画』、『45歳の教科書――戦略的「モードチェンジ」のすすめ 』『55歳の教科書――坂の上の坂』、『父親になるということ』と八冊続く予定です。
 対象は読書するビジネスパーソンだけでなく、幼稚園児から小・中・高校生の保護者となった世代。さらには、AIロボット時代を生きる人々の「働き方」「生き方」の指針に、大学合格、成人式、就職、転職、転居、結婚、出産、昇進、事務所開きなどのお祝いの品として、セットでの本の利用も想定しています。あるいは、還暦祝いなどの参加者へのお返しの品として使われることもあるかもしれませんね。
 コロナ災禍後の世界が見えにくい時代に、自分自身と家族の未来を拓く、ちょっとした羅針盤になればとの祈りを込めて。
 

2020年6月2日更新

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藤原 和博(ふじはら かずひろ)

藤原 和博

元リクルート社フェロー。1955年東京生まれ。1978年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。メディアファクトリーの創業も手がける。1993年よりヨーロッパ駐在、1996年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校の校長を務める。2008年~2011年、橋下大阪府知事の特別顧問。2014年から佐賀県武雄市特別顧問。2016年~2018年、奈良市立一条高等学校校長を務める。