文系と理系とどっちに行くか
さて、大学に行こうと決めて、これから受験を控えている高校生のみなさん。でも受験勉強の前の段階で悩んでいることもきっとありますよね。
文理選択はまず最初の悩みだと思います。たとえば、2年生の時に文理選択がある方、いますよね。文系のクラスに行くか理系のクラスに行くか、悩むと思います。決まっている人はいいですよ。「私は医者になる」だったら、絶対に理系クラスだし、「歴史の勉強をしたいな」だったら文学部に行くから文系クラス選択なわけですから。
でもどっちに行ったらいいか迷っている人、とても多いんですね。考えずに選ぶと、後でやっぱり違ったとなっちゃう。なので、決まっている人はいいとして、迷っている人に向けて話をしたいと思います。
それに、高校の段階では、得意な科目で文理を選んでしまう人が正直多いんですよね。「私、英語好きだから文系にしよう」とか「数学好きだから理系にしよう」って決めちゃう人が多いんですが、のちに後悔している人も多い。そういう決め方はあまりよくないんじゃないかなと思います。
どんな学問を学びたいのか早い段階で考える
文系か理系かを考えるときには、高校の時の得意な科目ではなく、その先にある大学の学部や、何を学びたいのかまで、なんとなくでも考えたほうがいいと思います。自分がやりたいことが経済学なのか医学なのか、全然違いますよね。
「早稲田大学は有名だな」ではなくて、じゃあどんな学部があるのか? 早稲田は文系が中心の大学ですから、文系学部のほうがたくさんあります。医学部はありません。でも理工学部は3つもあり、それぞれ学問領域が違います。それをちゃんと調べるんです。家を建てたければ必ず建築学科になりますし、都市をつくりたい、橋や道を作りたいんだったら土木になりますね。重要なことはきちんと学問に関心を持つことです。有名な大学だからそこに入りたいじゃなくて、なんの学問がやりたいかなんです。なんの学問がやりたいのかがしっかりしていれば、はっきり言って有名な大学じゃなくてかまいません。入った大学でその学問をしっかりやればいいんですね。
医者になりたい人は医学部に入りたいとしっかり決めているし、ロボットを作りたい人は、たとえば工学部に行くってちゃんと決めていますよね。「僕は歴史が好きだから歴史学科へ行く」と決めている人もいるわけです。もちろん、まだ決まってなくてかまわない。でも、ちゃんと決めている人と同じように、大学の学問の地図は知っておいてほしいんですね。それを踏まえて大きく文系か理系かを考えていってください。「まだ高校1年生だからよくわからない」なんて言っちゃダメです。
もちろん、これからの社会では文系であっても理系、理系であっても文系の学問をしっかり学んで、幅広い知識を身に付けることが重要になってきます。文系か理系か迷っている人は、文理にとらわれずいろいろな大学の学問や学部を調べると、自分の行きたい大学が見えてくるかもしれません。それに合わせて文理選択をするというのも手です。
文系だけど理系大に行きたい
しかし実際のところ、「本当は理系に行きたかったんだけど文理選択で文系クラスになってしまった」もしくは「文系に進んだけどやっぱり理系大に行きたくなった」という方もいると思います。多くの高校では文系クラスと理系クラスの数が最初から決められているので仕方のないことなのですが、もう理系にはなれないんだと思っていませんか? 安心してください。そんな方に向けた方法をお伝えします。
たとえばみなさん憧れの明治大学。農学部のホームページを見てください。農学部食料環境政策学科は実は文系の学科です。入試科目が文系3教科、国語と英語と地歴・公民で受けられるんですね。そう、理系学部なのに入試は文系科目だけでいいんです(もちろん理系科目での受験もできますよ)。学ぶ内容としては名前の通り、食糧問題や環境問題や政策といったことを勉強します。昔の名称は農業経済学科と言って、農業と経済の勉強をするところでした。明治大農学部食料環境政策学科の正体は経済学科なのです。ということで、文系だけど理系に行きたい方にぴったりです。
文系科目で入れる理系大学は他にもありまして、日本大学の生物資源科学部、東京農業大学の農業ビジネス系や国際食料系の学科も入試は文系の大学と同じ扱いです。情報系なら東洋大学の情報連携学部と総合情報学部が国語、英語、地歴・公民の3教科で入れます。関西なら近畿大学の農学部と建築学部、龍谷大学の農学部、関西大学の総合情報学部などで文系入試があります。
こういった学部は入ってしまえば、理系と同じ研究環境、設備の中で勉強することができます。就職でも理系大卒、理系の知識がある人と見られます。理系に行きたいのに文系クラスにいる人、あきらめずにぜひ挑戦してみてください。
それから私のイチオシは東京都市大学です。日東駒専と比べると知名度ないよねと思われがちなんですが、超お得大学なんです。文系で受けられる学部がいくつかありまして、とくに環境学部とメディア情報学部はいわゆる理工系の勉強をちゃんとできる学部です。前身が武蔵工業大学という東京四工大に数え上げられる工業系の大学だっただけあり、極めて優れた研究設備があります。文系で受験できて、研究の環境が良くて就職も良くて、そのうえ知名度はあまり高くないこの東京都市大学は大穴です。
やりたいことを親に反対されます
それから、やりたいことが明確にあるのに親に反対されているっていう人も多いでしょう? 「私これやりたいんだけど」と言うと、お父さんお母さんや先生が「やめておきなさい」と即答するような場面もあると思います。まぁ、多いのが、ゲーム業界とか、声優とか、あるいは海外の大学に行きたいとかですね。
特に地方だと県内、もしくは近県の大学しか駄目って言われてる人が多いと思うんですよ。女子のほうが顕著かもしれません。正直、私が全国回って多かったのは、長野県とか福井県とかで、親に「お金の面もあるし、あなたの将来だって心配なんだから、近所の学校行っときなさい」みたいなことを言われたという人。でも私はそうじゃなくて、東京や大阪に行きたいんだ、これがやりたいんだと、やりたいことがあるのに親に反対されている人へのアドバイスがあるんです。
親を納得させるには
親を納得させましょう。結局それしかない。そのためにはプレゼンテーション能力を磨く必要がありますが、プレゼン能力は、やりたいことがあるあなたにとって大きな武器になります。
なぜなら、その後のあなたの人生で何が起きるか? あなたが仮に、なりたいものになれたとしましょう。夢だった仕事についた。その時に、たとえば新しい商品を作りたいときって、誰にプレゼンしますか。
上司や社長ですよね。
「社長、うちの会社で今度こういうことをやりたいんです」
こう言うと、間違いなく反対されます。
「そんな新しい商品なんてやめとこうよ。今だって売れてるじゃないか」
絶対あると思いません? そう、仮にあなたの夢がかなっても、その後の人生って、必ず誰かが邪魔してくるんですね。憧れの仕事について活躍してる人もみんなそうなんですよ。新商品を作ろう。反対される。今度はこういうことをやりたい。やめとけって言われる。活躍している人、芸能人や社長さんだってみんなそうなんです。あなたがなりたいものになっても、いろんな人に反対されながら戦っていく。
やりたいことがあるあなたは一生戦い続ける人生なんです。そして実はその最初の壁が親なんです。親を突破できなくては、あなたはなりたいものになんかなれません。ですから、親を説得するんです。お母さんは反対してるけど、今この業界はこれだけ将来有望なんだよ。じゃあもしお父さんが言うとおり地方公務員になったとするね。それで本当に私は幸せなのかな、親の目から見てその私は本当に幸せだと思う?ときちんと話しましょう。
あとは、その時にちゃんとデータを持ってくる。たとえば、ゲーム業界はこれから日本だけではなくて、世界市場にさらに広がっていくことを考えれば非常に有望であるとかですね。
親は心配している
そもそも、親はあなたをいじめたいわけではなく、不安定な雇用で苦労するのではないかと心配していることがほとんどです。自分は将来のことをしっかり考えているという風に説明をしてください。もちろん実際には不安定な面があることは否定できません。でも、親が考える安定だけが安定とは言えない世の中です。
あなたがやるべきことはくれぐれも、親とケンカすることではありません。最後はお金を出す側が勝ってしまいますよね。納得してもらって、じゃあそこまでお前が言うなら頑張れと言ってもらえる状況を作るんです。
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