ちくまQブックス

難題にもひるまない最強の頭と目をもつために

なぜ本を読むのか?

本を読めば、きみ自身がgoogleマップになれるよ、と著者は言います。その意味するところ、またそのための本の読みかたを紹介する『未来のきみを変える読書術』の「はじめに」を公開します。

「読書は僕ぼくたちをグーグルマップにする」

 大学で、よくそんなことを学生たちに話しています。
 特に若いうちは、自分がいったい何者なのか、何者になれるのか、どう生きたいのか、よくわからないものです。いわば、高層ビル群の中で道に迷って、あっちへ行ったりこっちへ行ったりを繰り返しているような状態です。
 もちろん、地図のない旅は、それはそれで楽しいものだし、若い頃ころの特権でさえあります。
 でも、それがずっと続くと、わたしたちはいつか息切れしてしまうものです。
 そんな時、だまされたと思って、とにかく大量の読書経験を積んでみてほしい。そう、大学生たちに伝えています。そうすれば、ある時突然、自分がグーグルマップになって、摩天楼群を真上から見下ろし、入り組んだ迷路の全体像が見えてくるから、と。そして、どの道をどう通っていけば、自分の望む地点に到達できるか、おもしろいくらいに見えてくるから、と。それはあたかも、人工衛星から地球を見下ろす、グーグルマップになったかのような光景のはずです。
 あるいはこんな言い方もしています。
 同じレントゲン写真でも、わたしたちの見るレントゲン写真と、医師の見るそれとがまったく違ちがっているように、大量の読書経験を積めば、世界の見え方がまるで変わってしまう、と。
 「教養を積む」とは、そういうことです。
 日本語で〝教養〟と言うと、実生活には大して役に立たないけれど、知っているとちょっとかっこいいたくさんの知識、というようなイメージがあるかもしれません。
 でも、哲学──物事の〝本質〟を深く考え抜き洞察する学問──の世界では多くの場合、この言葉は、わたしたちがより「自由に生きるための知恵や知識」を意味します。ドイツ語のBildung(ビルドゥング) が、一般に〝教養〟と訳される言葉ですが、この言葉には、わたしたちをより自由にしてくれる、精神的、人格的成長をもたらすもの、という意味が込められています。さらに、そのことを通して、この社会もまた、より自由で幸せなものになるように、という意味も。
 本書でわたしは、読書によって世界の見え方がまるで変わってしまうとはどういうことか、どうすればグーグルマップになれるのか、お話ししたいと思います。いつもは大学生に語っていることですが、本書を手に取ってくれたみなさんであれば、中学生であっても、高校生であっても、(もしかしたら小学生であっても)、きっと興味を持って読んでもらえるだろうと思っています。そして、大いに役立ててもらえるに違いない、と。

「先生、最近、僕、グーグルマップになってきました!」
 そんなことを言ってきてくれる大学生が、年に何人かいます。
 読者のみなさんの中からも、そんなことを言ってきてくれる若い仲間が現れることを、わたしはとても楽しみにしています

 

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