素晴らしき洞窟探検の世界

第1回 洞窟に出会う前、探検家はどんな人生を送っていたのか?
『素晴らしき洞窟探検の世界』(ちくま新書)刊行記念

『素晴らしき洞窟探検の世界』(吉田勝次著、ちくま新書、2017年10月)の刊行を記念し、著者で洞窟探検家の吉田勝次さんと俳優の石丸謙二郎さんの対談を公開します。破天荒な洞窟探検家と、芸能界一の洞窟好きのお二人の対談は、探検家吉田勝次と洞窟探検の面白さがギュッと詰まった濃厚なものとなりました。
吉田勝次氏の探検基地にて(左:吉田勝次、右:石丸謙二郎、写真:畠山泰英(科学バー/キウイラボ))



二人の出会い
石丸 吉田さんと出会ってから、7、8年くらいになるのかな。
吉田 最初はどこでしたっけ?
石丸 鹿児島県の沖永良部島での撮影かな。銀水洞。
吉田 僕がテレビに出始めの頃ですね。
石丸 コーチ兼アシスタントみたいな感じで、吉田さんがいたね。
吉田 石丸さんは、洞窟大好き。芸能界では、洞窟のご意見番みたいな位置づけですよね。
石丸 テレビだと、そんなに危険なところには行けないからね。そうじゃないところはツアーに参加したり。そんなに入った数は多くないですよ。だから、自然の洞窟に入るという番組があったら、すぐに飛びつく(笑)。
吉田 2回目は、富士山の火山洞窟での撮影でしたよね。そこは立原さんという火山洞窟学会の会長さんがよく行っていて、70歳近くてとても元気なんだけど、ガイドは吉田くんやってくれないかと。それで、うちのメンバーでやったんですよ。で、「来るの誰ですか?」と聞いたら、石丸さんだった。石丸さんは、どんなところに行っても淡々としていて、変わらないですよね。洞窟に対する緊張感が少ない(笑)。

お二人が初めて会った鹿児島県・沖永良部島の銀水洞



子供の頃
石丸 
ところで、吉田さんは小さな頃はどんなだったの? 
吉田 誰も見たことのないもの、まだ発見されてない生き物を自分で探したり見つけたりする、というのが子供の頃からの憧れでしたね。
   それで、生き物が好きだからたくさん飼っていて、小学校6年生のときがいちばん多くて、100種類くらい飼ってました。変わった動物だとワニとか。ペットショップにワニがいて、母に「ちゃんとエサをやるから~」って、かなりねだって買ってもらいました。とにかく生き物が好きで、それと同時に、図鑑の絵と文章を写すのが趣味でした。
石丸 へー。図鑑まるまる?
吉田 はい。昆虫から始まって魚類、両生類、爬虫類と、順番にずーっと。大学ノートにまず絵を描いて、どんな生態なのかを全部写していく。学校から帰って来たら飼ってる生き物たちにエサをやって、それから夜は図鑑を写すというのが毎日の日課でした。未確認生物も大好き。ネッシーとか、雪男とか。
石丸 どっかにいるんじゃないかって?
吉田 そう、そんなことばっかり考えていて、「本当はツチノコ、いるんじゃないか」とか。それが思春期になって、ぱったり興味がなくなって(笑)
石丸 なるほどね。
吉田 それから21歳になるまで、生き物とか一切興味がなくなってしまって、まったく離れた生活でした。
石丸 運動は?
吉田 サッカー部でした。選手にもならないようなレベルでしたけど。体は特別鍛えてはなかったけど、野山に行って遊んで、いつのまにか本領発揮。川の激流を渡って、川向こうから「みんな来いよー」とか言って、誰も来ないとか。体力にはある程度自信があったから、その後山登りを始めた時は「簡単だろう」と高をくくってたところはありました。初めて八ヶ岳に行った時は洗礼を受けましたね。

関連書籍

勝次, 吉田

素晴らしき洞窟探検の世界 (ちくま新書)

筑摩書房

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