問いつめられたおじさんの答え

第2回 どうしてみんな、携帯ばっかり見てるの?

担当としては、身に覚えがある回答でした。

 なんでスマホをいじるかというと、タバコ代わりです。おじさん、タバコやめて20年ぐらいになるんだけど、やめたばっかりのときは口がさびしいのでガム嚙んでました。だけど、アゴが疲れるからいつも嚙んでるわけにもいかないんで、そのうちガム代わりにペットボトルのお茶を飲むようになった。
 お茶を飲むとトイレが近くなるでしょ。だからトイレは1日10回ぐらい行く。行きたくなくても一服つけるために行く。タバコ代わりにトイレに行ってオシッコするって、おじさんぐらいなもんだと思うけど、今は歳をとって頻尿になったんで、まだ同じぐらい行ってます。
 よく「仕事中にスマホとかインターネットすると集中力が落ちる」って言われるけど、間違いなく落ちますよ。なんか仕事中の時間がブツ切りになっちゃうっていうか、タバコの場合は、クールダウンだけど、スマホとかインターネットだと、別な時間が入り込んじゃう感じかな。頭のなかに別な情報が入ってきてしまう。
 また関係ないこと言うけど、漫画家でまだタバコ吸ってる人って、スポーツ選手がドーピングしてるようなもんです。創作仕事の人でタバコが吸えないと絶対不利だと思う。頭のなかをクールダウンできないから。「だったら吸え」って言われるだろうけど、人に気を遣いながら生きてるのがいやなんで、やっぱり吸えないね。

 結局、みんなケータイとかスマホが好きなんでしょ。おじさんはね、30年以上前にパソコンとゲームに狂ったんですよ。なんで狂ったかと言うと、それまではモニターっていうとテレビしかなかったわけね。だけどテレビって、ただ見てるしかないでしょ。チャンネルとかボリューム変える以外は。
 それがパソコンだと、自分が組んだプログラムが画面で動く。ゲームなんかだと画面のなかのキャラクターとか自分で動かせるし、思い通りに操れる。つまり「テレビを自由にいじってる」感があった。これはちょっと革命だったね。あとキーボードとかコントローラーも好きだったし。
 つまり、テレビとケータイはなんとなくつながってると言いたいわけなんだけど、みんなあんまり賛成しないかもしれない。だけどおじさんのなかではつながってます。モニターコンプレックスみたいなものがあるのかな。そしてそれをいいように操りたい願望も。

 ユーチューバーとかいるでしょ。ああいう人って企業の広告宣伝費目当てだよね。テレビ局と同じなんですよ、構造が。それで番組とかコンテンツとかをタダで見せてる。テレビに出たかった人がユーチューバーになるし、テレビに出られなくなった人もユーチューバーになる。
 言ってはなんだけど、ネット社会の価値感て数字しかないよね。1000万回再生とか、100万ダウンロードとか、フォロワーが数十万人とか、年収1億とか。これってテレビ局の視聴率と同じでしょ。おじさんみたいな年寄りから見ると、なんかカッコ悪い。数字を自慢するヤツってみんなにバカにされたもんだけど、ユーチューバーも結局バカにされてるんだね。
 それにネットから生まれたスターっていないでしょ。昔はいたもんですよ、映画でもテレビでも音楽でも。ネットだとアッポーペンの人かな。言ってはなんだけど、あの人おもしろくないし、カッコ悪い。あ、こんなこと言ってるとまた炎上するかな。
 これは人の受け売りだけど、昔は世論というものの象徴としてテレビがあった。今はインターネットが世論でしょ。「自分が正義だ」みたいにエラそうな意見も多いけど、つまりメディアっていうヤツですよ。メディアが世論をつくるわけです。世論てなんだろうね。辞書を見ると「せろん」と読んでも、「よろん」と読んでもいいみたいなんで、なんだかよくわからない。そんなよくわかんないものに、企業とか政治家はビクビクしてるっていうか気にしてる。俳優とか芸人さんとかがなんか事件起こしたりすると世論に叩かれるし、CMを降板したりするでしょ。まぁ、世論を気にして降板させるというよりも、契約違反だから降板させてるのかもしれないけど。
 あぁ、また無駄話しちゃったね。いや、いい機会だからネットの悪口とか言っておきたくてね。まだ言い足りないけど。