【季節・冬 分類・生活】
ハンドクリーム
傍題 ワセリン リップクリーム買ふ
普通に暮らしていると肌が乾燥してしまうシーズンがやってきた。「湯使ふ」というネオ季語を冬のものとして提案済みだが、寒いからと言ってお湯なんか使うとまた手のあぶらが落ちてしまって余計乾燥してしまう。
「皸(あかぎれ)」や「胼(ひび)」は冬の季語で、「胼薬」が傍題となっている歳時記もあるが、ここではひび・あかぎれとまではいかない手肌に、薬とまではいかないクリームを、保湿のため、あかぎれなどの防止のために使うことを立項したい。リップクリームについては、年中使うという印象がある人も多いだろうが、やはり冬の唇の乾燥に合わせて購入することが多いだろうことから「リップクリーム買ふ」まで含めてネオ季語とした。
ハンドクリームのよさは、手がクリームをちゃんと吸い込むかどうかで決まると、私は思っている。たまに、塗ったあと随分経っているのに、手を洗うとぬるぬるとすべて落ちてしまうようなものがあるが、そういうものはよろしくない。スマホやPCのキーボードを操作するとベトベトになる、そういうものもよろしくない。塗り込めばしっかりと肌に浸透して、何かを触ったくらいですぐに落ちないようなものが好ましい。
ハンドクリームは種類によって、油膜をつくって水分を閉じ込めたり、尿素やセラミド配合だったり、少しずつ配合成分が違うようである。素手で洗い物をする際は、ワセリンなどを塗ってからだといいようだ。ジェル状のものはさらっとした使い心地だが、効果のほどはどうなのだろうか。この原稿を書くにあたってドラッグストアのハンドクリームコーナーや口コミサイトなどを調べてみたところ、1000円以上する比較的高価なものはどれもそれなりに効果が期待できるようだ。安いものは当たり外れが激しそうな印象。食事時など案外香りも気になるもので、自分が好きな香りや匂いの強すぎないものを選ぶのも大事かもしれない。私は現在、去年買った2本を引き続き使っているが、どちらも正解とは言いがたく、今年また1本買ってしまいそうだ。
〈例句〉
ハンドクリーム指輪の裏に溜りけり 佐藤文香
街の乙女らハンドクリーム試し去る