【季節・夏 分類・生活(飲食)】
タピオカ
傍題 タピオカドリンク タピオカティー タピオカミルクティー パールミルクティー
タピオカが流行るのは何度目なのだろう。女子高生に人気なのかと思いきや、私のまわりの20代〜40代には男女問わずタピオカ好きが多く、先日もそのうちの男性2人が「噛みごたえがいいよね、たまに並んで買ってる」「僕、スタンプカード持ってます」と話していた。
私に関して言えば、あるときに「タピオカは炭水化物」と聞いて以来、極力摂取しないようにしてきた。ただでさえ甘い飲み物なので、カロリーが高すぎるだろうという判断だ。しかし、ネオ季語とするにあたっては、飲んでおかねばなるまいと、取材に出かけることに。なお、デザートに使われる小さく透明なタピオカもあるが、ここではドリンクに入っている大粒のタピオカをもって季語としたい。
まず向かったのは、うちから一番近いタピオカミルクティーの店。ガラス張りの扉にピンクの看板が儚げだ。敷地面積はかなり狭い。若い女性の店員さんが2人に対して、お客さんは平日午後だからか数人。並ばずに購入できた。メニューはそこまで多くなく、ブームに便乗して最近できたインスタントな店のようである。大きくて黒いタピオカにはどうも芯があり、半分くらい残してしまった。アイスミルクティーは美味しかったので全部飲んだが、これで500円というのは高い。タピオカは原価が安く、出店費用もかからないために、儲かるという噂もある。してやられた感。
前述のタピオカ好きの友人が「コンビニとかスーパーのはあんまりなんだよね」と言っていたので、それも試してみようと、「タピオカミルクティー」という150円程度の商品を買って家で飲んだ。ふつうにうまいが、タピオカは店のものよりだいぶ小さく、歯ごたえがあまりない。原材料を見てみると「ブラックタピオカ(でん粉・コラーゲンペプチド)」と書いてある。このつぶつぶは、キャッサバからつくったタピオカパールではなく、タピオカ風のなにか、なのかもしれない(単に別種なのかもしれない)。
そして本日。本格的な台湾茶の店に来ている。50円でタピオカがトッピング可能、また濃厚チーズのリッチなクリームを乗せる「マキアート」などもあり、以前来たときはタピオカには見向きもせずホットミルクティーを頼んだのだった。今回は「プレミアム焙煎鉄観音ミルクティ(タピオカ入り)」にしてみた。なるほど、弾力はあるが硬くないタピオカだ。そして特筆すべきはミルクティーのうまさ。はっきりと茶葉の味がする。さすがお茶の店。タピオカよりミルクティが好きな私としては、ストローがタピオカを吸い上げるたび、ミルクティーの味が中断されるのが残念だった。世の中には「タピオカミルクティー・タピオカ抜き」というメニューがあるらしいが、わかる気がする。タピオカをすべて吸いきったら、ものすごい満腹感だ。と、今これを書いている私の横の席から高校生カップルが去り、新しい高校生カップルが席についた。Lサイズも同額サービス中だけあって、みんなLサイズのドリンクにタピオカをイン。なるほど、若い人はあんな量を飲みきれるのか。腹に溜まるというのも、若い人に人気の理由かもしれない。
タピオカはミルクティーだけでなくいろいろなドリンクの中に入っているが、やはり多くは冷たい飲み物であるし、その見た目を楽しむという観点からしても夏の季語とするのがよかろう。タピオカ好き各位におかれましては、暑い中長蛇の列に並んで、熱中症にならないように気をつけていただきたい。
〈例句〉
厨房狭しタピオカを黒く煮る 佐藤文香
ビル風の木漏日のタピオカの街