【季節・秋 分類・生活(ファッション)】
パーカー
傍題 パーカ
パーカーはふつう長袖で、フードと2本の紐、2つのポケットがある。頭からかぶるプルオーバーと、前びらきでジッパーがあるものがある。おしゃれな人はプルオーバーで、スケートボートに乗っているイメージだ。おしゃれな人ほどフードをかぶってもおしゃれである。男女で大きなデザインの差がないのがいい。
しかし、外出用と思って買ったパーカーも、私が着ると必ず家着っぽくなってしまう。やわらかそうなのを買うとだいたいダメだ。持っているパーカーのうち、現在外出に使っているものはユニクロの「ブロックテックパーカ」のみ。秋も半ばを過ぎると、自転車を漕ぐには少し冷えるので重宝している。これは雨にも強い。
ユニクロのパーカーでは銀座には行けないが、近所を散歩するにはちょうどいい。夜、Tシャツの上にパーカーを羽織ってあてもなく散歩に出るのは秋らしい。夜の散歩は家の延長である。ポケットに手を突っ込んで、サンダルで歩く。サンダルはもう寒いが、靴下を履くのはめんどくさい。コンビニで妙なジュースを買い、短い橋から細い川を見る。虫の声が聞こえる。ぱらぱらと雨が降ってきて、フードをかぶる。遠くに行く気力はないものの、家にも帰りたくないので、だらだらとそのへんを歩き続ける。といっても、だいたい1時間くらいのことだ。
『合本俳句歳時記(第四版)』(角川学芸出版)では、「カーディガン」は「セーター」(冬)の傍題となっているが、個人的にはカーディガンは春っぽいと思う。いや、厚さによるか。パーカーも最近はいろんな種類がある。先日ユニクロに行ったら、一番目立つところに秋の最新作として「ハイブリッドダウンパーカ」という完全防寒ができそうなものが吊られていた。畳んで小さくなるポケッタブルのものや、UVカットのものもある。同じパーカーでも通気性のよいエアリズムのものは夏、ボアスウェットは冬っぽいので、こういうものは別の季節の季語にしたい。女性用として「オーバーサイズパーカ」まであった。彼氏の服を着る彼女感が出そうだ。ここまででおわかりかと思うが、ユニクロでの商品名はすべて「パーカー」ではなく「パーカ」で統一されている。パーカの方がイケている気がするが、着ておしゃれかどうかは着る人に左右される。俳句においては、音数の調整が効く、使い勝手のいい季語だといえる。
〈例句〉
パーカーで歌ふ団地を背景に 佐藤文香
自分が自分の友達みたいだパーカ着て
