夢の中で聞くような言葉に、現実の世界で出会うことがある。
私(私達)は以下のものを持ち込んでいる:
病原体、細胞培養、カタツムリ
はい□いいえ□
私(私達)は家畜のそばにいた(触ったり扱ったりした):
はい□いいえ□
これらはいつだったかの旅行の時、飛行機の中で渡された税関申告書の一部である。「病原体、細胞培養、カタツムリ」の謎めいた並びもいいが、「私(私達)は」という繰り返しが夢っぽく響いてときめく。また「家畜のそばにいた(触ったり扱ったりした)」の奇妙な念押しはなんなんだろう。翻訳の誤差が偶然生み出したポエジーか。感動のあまり、そのまま本歌取りして短歌を作った。
病原体、細胞培養、カタツムリ、私(私達)は家畜のそばにいた:はい□いいえ□
インターネットの時代になってから、この種の不思議な誤差を含む言葉に触れる機会がさらに増えた気がする。以下は、たまたま見かけたネットニュース記事からの抜粋である。
ブロッコリーが嫌いな人は、長時間働いているにも関わらず、本当はあまり働きたくないと思っているようだ。一日に一〇時間以上働く人の割合は、全体平均(12.8%)を上回る20%だが、本当は四時間未満しか働きたくないという人の割合も平均(12.3%)を上回る20%となっている。
「ブロッコリーが嫌いな人は、長時間働いているにも関わらず、本当はあまり働きたくないと思っている」に詩的な暗示を感じる。嫌われた「ブロッコリー」が、その「人」の心身を操っているかのようだ。
同社は、20歳以上の未婚男女416人を対象に、野菜の好き嫌いと恋愛の傾向についても調査を実施。3年以上交際したことがある人の割合は、じゃがいもが好きな人では26.9%だったが、じゃがいもが嫌いな人では13.8%にまで下がった。
また誰とも付き合ったことのない人の割合は、じゃがいも好きで23.5%、じゃがいも嫌いで14.7%。逆に10人以上と付き合ったことがある人は、じゃがいも好きで11.8%、じゃがいも嫌いで23.5%だった。じゃがいもが嫌いな人は、多くの人と短期間の交際をする傾向にあるようだ。
トマトが嫌いな人の半数近い41.2%が交際人数0人という結果に。さらに付き合ったことがある期間も6か月未満が35%となっている。トマトが嫌いな人は決して少なくないはずだが、実は恋愛ベタなのかもしれない。
野菜の好き嫌いと生活についての調査結果らしいが、読んでいるうちに頭がくらくらしてくる。これも短歌にできないかなあ。