いま、片づけに夢中です。
会う人会う人に片づけの話をしてしまうくらいハマっています。
きっかけは一昨年にした引っ越しでした。
一年半くらいかけて理想に合う物件を見つけたのはいいものの、前の家は狭かったこともあって物が溢れていました。本当に何から手をつけていいのかわからない状態に「どうやったら片付くの?」と途方に暮れていたところ、助けになってくれたのが近藤麻理恵さんの『イラストでときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)でした。
近藤さんは物を捨てるかどうかを「ときめくか、ときめかないか」で判断します。最初は「ときめくってどういうこと?」と戸惑ったのですが、やってみると不思議なもので、だんだんとその感覚がわかるようになってきました。物への感度が磨かれていったのだと思います。
服、写真、本など色々な物を分けていくうちに自分の中の基準を意識できるようになりました。いま何に興味があって、将来どんな風に生きていきたいか、というのがはっきり見えてきたんです。
これが私の考える片づけの醍醐味です。
たくさん捨てた分、最終的に残した物にはすごく愛着が湧いています。「ときめく物は残して愛情を持ちましょう」という近藤さんの考えが私には合っていたみたいです。それから物は減らしつつも自分がときめく物はどんどん増やしていって、家は私の好きなものだらけになっています。すると、自分の好きなものがはっきりするので家の居心地が良いし、日々が愛おしくなるんです。
また地曳いく子さんの『服を買うなら、捨てなさい』(宝島社)にもとても影響を受けました。これは服に特化していて「一週間以内に着ない服は買わない」のような具体的なルールが書かれています。その基準が自分にしっくりきたみたいで、決められないことが多い私でも実践することができました。
いまではお店に行っても、服もインテリアも「自分はこれ」っていうのがはっきり決まっているので適当に欲しい物を探すのではなく、「これがなくなったから買おう」とか「お気に入りの服がダメになったから、同じようなものでアップデートしよう」という買い方になりました。
でも趣味が狭まったわけではなくて、むしろ家に物が少ないので刺激を外に求めるようになったり、元々好きだった旅行にもっと行きたいと思うようになりました。またシンプルな暮らしを通じて、お寺や神社、落語、器のような昔の人の住まいや生活、日用品にも沸々と興味が湧いてきています。
実は引っ越しをする前は世間に溢れるたくさんの情報の中で、生活の芯が決められずにフラフラしていた時期だったんです。でも近藤さんと地曳さんの本に出会って片付けをはじめたことで自分の中に一本の芯ができて、日々を大事に生きるってことを考えられるようになりました。
こう書くと、すごく立派なことをしているように思われるかもしれませんが、単純に自分の好きなものに囲まれたらテンションが上がるし、家に来た友達に「綾の家はきれいだね」って言ってもらえたら嬉しいし、さらに楽しく生活するための助けくらいの気持ちでやっています。それに、何もないスッキリした机の上に明日の台本がきっちり置かれていると「やるぞ!」となって、その仕事に対して感謝の気持ちが持てる気がするんです。
そういう意味で、私と同年代でちょっと仕事や人生に悩んでいる人には片づけをお薦めしたいです。好きなものとか、自分の将来を見つめなおすきっかけになるかもしれませんよ。