皆様本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。お集まりと申しましてもこちらのリモート画面上、オンライン上ということではありますが、便宜的にそう呼ばせていただきます。なお、講座内容に関しましてはこちらで画面録画しておりますので、ご自身でメモを取られる必要はございません。ご希望される方がいらっしゃいましたら後ほどURLをお送りいたしますので、本日不参加のお知り合いにもぜひシェアしていただければ幸いでございます。いずれの場合にも料金は発生しませんので安心してご利用ください。
さて、早速本題のほうにうつりたいと思います。
・1~3話にかけて話題になってきた
・最近名前をよく聞く俳優が出ている
・主題歌があのバンド
上記にあたる今期ドラマを未視聴である現在の状態に、不安感もしくは罪悪感を持たれている方々に受講していただいております。みなさんは職場で上司や同僚間で交わされている「○○観た?」からの盛り上がりについていけず、突発的に疎外感を感じる日がございましょう。同じ一つの作品を観たというだけでたやすくああも笑い合えるなんて浅はかな、と内心嘲ってはいても、自分は所詮観ざる者、「あ、そうだ休みにまとめて観ようと思ってて」と無理に応戦してみるもあえなくスルー。そこで思い返すは昨晩、観ようと思えば観られたのにもかかわらず、ソファーに寝っ転がってなんのためにもならないショート動画を延々と 垂れ流していたことです。こましゃくれた受け答えをするどこかのお子さん、とても可愛かったですね。そしてついでに半年間も観ていないHuluを解約していなかったことも思い出してしまいます。そんなあなた。あなたです。大丈夫です、あなたは何にも悪くありません。
ここで一つ、私から提案があります。明日、隣のデスクに座るすべてのエンタメをチェックしているように感じる同僚に、「そのドラマの主演俳優のセリフ、ちょっと真似してみてくれない?」とお願いしてみてください。日頃あなたに疎外感をもたせてくる嫌な同僚です。同僚はきっと目を輝かせて、すらすらと主演俳優の特徴的なセリフを言ってくれるでしょう。もしかしたらそのセリフは、トレンドワードやネットニュースになったことですでにあなたの目に触れているものかもしれません。しかしそこであなたがすることは感謝ではありません。大きく首をかしげることです。「あれ? そんな速い話し方をするの?」と。そうすると同僚はたちまち視線をあちこちに泳がせ、「あれ? どうだったかな」と返事になっていない返事をするでしょう。
こうなるともう安心です。そうです、同僚は話題についていくために倍速視聴をしているに過ぎないのです。どうです? そんな風にドラマを観て、本当に作品を楽しんでいると言えるでしょうか? 単に流行を追いかけているだけで、その行為はとても虚しいものではありませんか? そんな視聴者は、監督や俳優陣が繊細につくりあげた間合いなんてなにも汲み取ってなんかいやしません。もしその同僚が『北の国から』を観ようもんなら田中邦衛も富良野でラップしていると思うでしょう。私のたとえの古さも、本当は気にする必要なんてまったくないんです。名作は、いつ観ても名作です。
さあというわけで、少しでも気が楽になっていらっしゃいましたらありがたく存じます。なお、こちらの動画のアーカイブ期間は40年とさせていただきます。お時間のない方は、定年後にでもごゆっくりご覧ください。なお、私の話し方は元よりこのような早口でございますので、倍速視聴してしまうとなにも聞き取れないおそれがございますのでご注意ください。