【季節・春 分類・テクノロジー】
アカウントつくる
傍題 鍵アカの鍵開ける 久々のログイン
この春、ツイッターのアカウントをつくった。メインアカウントと鍵アカウント、同人誌のアカウント、さらに別名アカウントまであるにも関わらず、である。新しいアカウントは、自分が勉強したり運動したり、食事を記録したりするために使い、基本的に俳句のことはつぶやかないことにした。俳句は好きだけれど、いつの間にか仕事にもなってしまったので、俳句に関するツイートを見るだけで疲れてしまうことが増えるようになったからである。読んでいない雑誌や句集がある、とわかるだけで苦しいし、自分のツイートでも、テンションを上げて仕事の告知をしているものなどをあとから見返すとうげっとなる。ここはどうにか、気分を変えようと思った。新しいアカウントでは、俳句のことをほとんどつぶやかない友人何人かと相互フォロー、日本語学についてつぶやく研究者の方々をフォロー。4月から科目等履修生として大学に通うため、学校生活のことはそのアカウントで書くつもりだ。
新学期、新しく何か始めようと思ったときに、それまで自分がやっていた場所のままでは、なんとなく一歩を踏み出せないことがある。とはいえ、今までの友達や環境を捨てたいわけではない。別の新しいフィールドで、自分が居心地よく情報収拾・発信できるよう整備したいと思うのは、至極自然なことだろう。友人Nは最近宝塚にハマってツイッターでヅカアカをつくり、友人Yは手芸に凝り始めてインスタグラムで手芸アカをつくった。趣味や勉強を始めるのに季節は関係ない、と言われればそれまでであるが、クラス替えのときのようなフレッシュな気持ちは、春にこそ味わい甲斐がある。
高校や大学への入学に際して、初めてアカウントをつくり、SNSデビューするのもいいだろう。また、今までやっていなかったSNSや出会い系サイト、ブログなどのアカウントをつくってみるのも、見える世界が少し変わっていいかもしれない。今までの自分も、新しい自分も、自分には違いない。
〈例句〉
アカウントつくる賢島行特急にて 佐藤文香
朝やこの世につくり足すアカウント